写真1 NTTネットワークサービスシステム研究所の須田宏一所長
写真1 NTTネットワークサービスシステム研究所の須田宏一所長
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写真2 「ユビキタスSOA」を説明するスライド
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 「日本のブロードバンドの料金は世界で最も安価。これからは料金競争でなく,付加価値競争が大事になるだろう」。NTTネットワークサービスシステム研究所の須田宏一所長(写真1)は,米ヒューレット・パッカードが主催するシンポジウム「Synergy. 06」で,NGN(次世代ネットワーク)に向けた通信事業者のあり方をこう説明した。

 講演で須田所長は日本のFTTHについて言及。今年度末にはFTTHの加入数がADSLの加入数を上回る勢いであるとし,「IP電話(ひかり電話)を合わせて考えるとそれほどFTTHの料金は高くない」との見解を述べた。その上で,通信事業者の収入の状況を説明。固定電話は減少傾向で,携帯電話も1999年から収入が横ばいであるとし,「どこで通信事業者は生きていくのか。ブロードバンド市場でいかに収入源を求めていくかが課題」と展開した。

 続けて須田所長はNGNの必要性を説明。通信事業者におけるNGNの目的として,次の3点を挙げた。(1)ネットワークの運用・管理コストを低減すること,(2)通信事業者の市場を維持し,さらに拡大すること,(3)今までの電話の延長ではなく,それに代わる収入源を開拓すること,である。

 (1)を実現するのがネットワークのIP化である。そのIP化したネットワーク上で(2)を実現する手段が固定と携帯を融合するFMC(fixed-mobile convergence)や,インターネット接続と固定/携帯電話,TV放送をまとめて提供するクアドロプル・プレイなど。こうした手段でユーザーをつなぎとめた上で,ネットワークのあらゆる機能を使って(3)の新サービスを実現する姿を描いた。

 この新サービス実現のために須田所長が挙げたキーワードが「ユビキタスSOA」である(写真2)。SOA(service oriented architecture)とはアプリケーションを構成する要素を分け,それぞれサービスとして連携させてシステムを構築するアーキテクチャ。須田所長は「SOAはエンタープライズでは主流になろうとしており,サービス連携が大きな流れだ。テレコム分野も同様で,この流れの延長で将来のサービスを考えたい」とした。