Office 2007のスイート製品のラインナップ。パッケージ製品では「Ultimate」、ボリュームライセンス製品では「Enterprise」が新たに加わった
Office 2007のスイート製品のラインナップ。パッケージ製品では「Ultimate」、ボリュームライセンス製品では「Enterprise」が新たに加わった
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ボリュームライセンス製品の構成。新製品の「Groove」は、Enterprise版にのみ含まれる
ボリュームライセンス製品の構成。新製品の「Groove」は、Enterprise版にのみ含まれる
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CAL(Client Access License)の構成。拡張機能を利用したい場合は、Standard CALに加えてEnterprise CALを購入する必要がある
CAL(Client Access License)の構成。拡張機能を利用したい場合は、Standard CALに加えてEnterprise CALを購入する必要がある
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Grooveのワークスペース。招待したメンバーとさまざまな情報をやり取りできる
Grooveのワークスペース。招待したメンバーとさまざまな情報をやり取りできる
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 マイクロソフトは2006年7月10日、次期Office「the 2007 Office system(以下、Office 2007)」日本語版の製品構成を発表した。クライアント向け製品17種類、サーバー製品とスイート製品は6種類用意する。おおむね、既に米国で発表済みの製品構成に沿う形となっている。なお、価格は未公表。

 クライアント向けの新製品は、コラボレーションツール「Groove 2007」とポータルサイト構築ツール「SharePoint Designer 2007」の2つ。パッケージ版のスイート製品は、「Personal」「Standard」「Professional」の既存3製品に加え、最上位版として「Ultimate」を追加する。Ultimateは、インスタントメッセージングツール「Communicator」をのぞくすべてのアプリケーションを含む。

 ボリュームライセンス版で新たに追加されるのは、「Enterprise」。名刺整理など個人向けの情報管理ツール「InterConnect」以外のすべてのアプリケーションを含む。これ以外には「Professional Plus」(現行の「Professional Enterprise」に相当)、「Standard」(同名の現行製品に相当)を用意する。

 サーバー製品で新たに加わるのは4種類。電子フォーム(電子的な申請書やりん議書など)の統制と管理のための「Forms Server」、Grooveを企業内で管理するための「Groove Server」、ビジネスの計画や管理の効率化を図るための「PerformancePoint Server」、ポートフォリオ管理を担当する「Project Portfolio Server」(英語版のみの提供)である。またサーバー製品にアクセスするためのライセンス「CAL(Client Access License)」に、「Enterprise CAL」を追加する。各製品の基本機能は、従来からある「Standard CAL」のみで利用できるが、拡張機能を利用するにはEnterprise CALも購入する必要がある。

 また同社は同日、Grooveに関する製品説明会を開催した。Grooveは、ビル・ゲイツ会長の跡を継いでチーフ・ソフトウエア・アーキテクトに就任したばかりのレイ・オジー氏が、米グルーブ・ネットワーク(2005年にマイクロソフトが買収)において開発したもの。オジー氏は「Lotus Notes」を開発するなど「グループウエアの父」として知られる人物だが、「Grooveは、従来のグループウエアのコラボレーション範囲をさらに拡大するもの」(インフォメーションワーカービジネス本部 IWインフラストラクチャマーケティング グループの松田誠シニアプロダクトマネージャ)として開発された。

 Grooveの特徴は、P2P(ピアツーピア)技術を利用し、ファイアウオールに隔てられた社外の人とも柔軟な情報共有を実現すること。「ワークスペース」と呼ばれる情報共有の場を作成してメンバーを招待すれば、ファイル共有やメッセージング、掲示板のような形式での意見交換、スケジュール共有、音声メッセージの送付などが可能になる。ワークスペースはツールの利用者自身が簡単に作成できるし、「通常は80番ポートを使ってやり取りするので、特別な設定は必要ない」(松田氏)。

 Grooveは、社外のメンバーと共同でプロジェクトを運用している場合などに特に便利だという。マイクロソフトの買収前からGrooveに着目し、英語版しかないにもかかわらず利用してきたユーザーが日本にも少なからずいる。例えば、従来からGrooveを日本で販売してきたシステムコンサルタンツは既に120社ほどに導入しているという。「既存ユーザーにも話を聞いたが、満足度は非常に高い」(インフォメーションワーカービジネス本部の細井智マネージャ)。

 ただGrooveのこの柔軟さは、情報漏洩などを危惧する企業にとっては脅威となりかねない。その点については「Groove Severを導入することによって、利用者や情報共有可能な相手先などを管理できる」(松田氏)と説明した。またどうしても外部との情報を遮断したい場合は、「Grooveのパケットは先頭部分に“Groove”という文字列が入るので、判別は可能」(松田氏)だという。