リンガーハットの八木康行社長
リンガーハットの八木康行社長
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 2004年2月期と2005年2月期は2年連続で最終赤字だった外食チェーン、リンガーハットが2006年2月期で黒字転換した。さらに2007年2月期~2009年2月期の3カ年平均で年間11%ずつ売上高を伸ばす計画だ。

 日本マクドナルド社長を経て2004年9月に同社顧問、2005年5月から社長に就任した八木康行社長に現状と今後を聞いた。

——2005年度についての評価は?

 社員教育強化や店舗改装を通じた顧客満足度の改善、調理方法改良を通じた待ち時間短縮などがうまく回転し始めている。

 2004年までは、人件費を抑えるため店舗当たりの店員数を減らしたり、初期投資の小さい小規模店舗を増やすといった効率重視の経営を目指していた。

 だが、1店舗当たりの正社員数は2004年は0.64人だったが、今は0.75人まで増やした。2005年度はパート社員の中から21人を店長として正社員採用した。今後も正社員は増やしていく予定で、この春には30数人を正社員採用している。

 また、従業員のモラルとスキル向上のため300人に研修を実施するなどした結果、パートやアルバイトの離職率が半減した。

 目先のコストにとらわれずに顧客満足度を重視した施策が、2004年7月以降、既存店の月商は24カ月連続で前年を上回る結果に結びついた。

——顧客満足度はどう把握しているか?

 従来の調査は、年に1度、首都圏と福岡で2000戸に戸別訪問してイメージなどをヒアリングするのが中心だった。2005年度からはミステリーショッピング(覆面調査)を導入。今年は年2回、全店舗で行う。待ち時間や皿の盛り付けなどのチェックのほか、接客面も評価する。

——課題は?

 店舗の改装ペースを上げることだ。400店舗強あるちゃんぽん店のうち昨年度は84店舗改装した。今年は120店舗改装する。

 改装店舗は、ちゃんぽんの調理時間が短くなる。トヨタ流の研究会活動を通じて生み出したオール電化の調理システム、ニュー・オペレーション・システム(NOS)を導入するからだ。調理時間は2分間ほど短くなり6~8分になる。

 改装ペースを上げるには、NOSの導入コストをもっと下げたい。よりコンパクトで低コストな調理システムの検討を進めている。

——設備投資も進めている

 この7月から工場に冷凍設備を入れた。麺を生麺から冷凍麺に変えた。ほとんどの具も冷凍して店舗に配送する。店頭では店頭での油炒め作業はキャベツともやしだけになり、大半は鍋で煮込むだけになる。今後は冷凍ちゃんぽんを小売店ルートに乗せることも検討中だ。

 IT(情報技術)には今年度3億円を投資する。時間帯別データや地域別の販売動向などを分析できるデータベースを今年度中に稼働させる予定だ。ブロードバンドでPOS(販売時点情報管理)データをリアルタイムで収集し分析可能にする。老朽化したPOSレジやオーダー用の携帯端末も更新する。