表彰式の模様(左は,トレンドマイクロ 日本代表の大三川彰彦氏)
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“ウイルス・ハンター”によって報告された新種ウイルス一覧の一部
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 トレンドマイクロは7月7日,同社が2005年8月末から実施している「ウイルスハンタープロジェクト」に対して貢献度が高いユーザー15名/団体を,「ウイルスハンター」として表彰した。同プロジェクトは,一般のユーザーからコンピュータ・ウイルスの検体を募集するもの。この15名からは,同社ラボでは発見できなかった新種ウイルスが合計467種類報告されたという。

 「ウイルスは年々複雑化しており,特定のユーザーや組織・団体だけを狙ったウイルスも次々と出現している。このため,自社だけでは新しく出現したウイルスすべてを集めきれない状況になっている」(トレンドマイクロ 日本代表の大三川彰彦氏)。そこで,一般のユーザーからウイルスの検体を送ってもらうウイルスハンタープロジェクトを開始した。同社製品を使っていないユーザーからの検体も受け付ける。送ってもらった検体は同社で解析した後,必要に応じて同社のパターンファイルに登録する。

 同プロジェクトはボランティアであり,見返りはない。送ったウイルスが新種だった場合に,同社のウイルス対策製品で対応するだけである。だが,ウイルス検体提供者に感謝の意を表すため,今回,貢献度が高いユーザー15名/団体を表彰し,記念品を贈呈した。「提供ウイルスの“量”と“質”の両面から判断し,上位15名/団体を決定した」(大三川氏)。

 2005年9月から2006年5月末までに,この15名/団体から送られて同社製品で対応した新種ウイルスは計467種類。ちなみに同社の広報によれば,この期間に同社ラボで発見した新種ウイルスはおよそ5000から6000種類であるという。そのほか,同社ラボでは見つけられなかったフィッシング詐欺目的の偽メール(フィッシング・メール)が18通寄せられたという。

 同プロジェクトは今後も継続して実施する。このプロジェクトで気になるのは,一般のユーザーにウイルス収集をお願いしている点。プロジェクトへの協力を促すことで,ウイルス感染のリスクにさらすことにはならないだろうか。実際,今回の表彰式に参加したウイルスハンターの1人は,「収集している際に,ウイルスをダブルクリックしそうになってヒヤッとした」という体験談を語っている。この点について大三川氏は,「協力してくれるユーザーには,くれぐれも無理をしないよう今まで以上に呼びかけるようにしていきたい」とする。

トレンドマイクロのニュースリリース(2005/8/31)