会見する松下電器産業の大坪文雄新社長
会見する松下電器産業の大坪文雄新社長
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 7月7日、松下電器産業は6月末の株主総会後の取締役会で新社長に就任した大坪文雄氏の就任会見を開いた。会見の席上、大坪新社長は、2006年度の営業利益4500億円、営業利益率5%を達成できる見通しになったことを示し、「2010年度の営業利益率目標10%という数字は一時として忘れたことはない。私の使命は『V字回復』から『成長』へと大きく舵を切ることだ」と語った。

 「成長」を実現する戦略として、薄型テレビを中心とする主力製品の海外増販と、開発設計力の強化による徹底したコストダウンを並行して進めていく。例えば薄型テレビは、2007年度の第2四半期までに尼崎新工場でのディスプレイ生産をスタートさせ、上海、メキシコ、チェコ、シンガポールの海外工場に運んで組み立て・出荷するというグローバルな生産体制を整える。海外増販に向けての布石の一つだ。これによって近い将来、薄型テレビの売り上げ1兆円を目指す。

 「増販だけ、あるいはコストダウンだけで、営業利益率10%という数字は到底達成できない。両者を同時に、着実に進めることではじめて実現できる」と大坪社長は語り、その経営方針を「モノづくり立社を目指す」と表現した。

 薄型テレビの他に同社が成長を見込む事業および当面の売り上げ目標として、カーエレクトロニクス事業で1兆円、住空間ソリューション事業で3兆円、半導体事業で6500億円を挙げた。

 1兆5000億円と潤沢になったキャッシュフローの使い道については、「営業利益率10%の実現に向け、売り上げ規模拡大のためにM&Aに乗り出すことも視野にある」(大坪社長)。また20年後のデジタル家電を見据え、その要素技術の研究開発にも積極的に投資していきたいという。

 5月にNECとの包括提携を発表した携帯電話端末事業については、「技術面での提携によって、目に見える効果を上げることが第一。まず松下の事業を強くすることで提携の効果を引き出したい」(大坪社長)と、携帯事業の建て直しに強い意欲を見せた。