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 イーツリーズ・ジャパンは,専用LSIを用いたハードウエア処理によって,高さ1.5Uのきょう体1台で50万接続まで可能なWebサーバー専用装置「freeocean」を,2006年7月中旬に出荷する。狙いは「負荷分散装置と複数のWebサーバーを組み合わせたシステム全体を1台で置き換える」(イーツリーズ・ジャパン)こと。価格は機能をWebサーバーに限定し同時接続3万2768コネクションまで可能なエントリ機種が400万円(税別),キャッシュ機能を備えた機種が600万円(税別)。販売目標は今期300台。

 freeoceanは,HTTP,TCP/IP,イーサネットなどWebサーバーの機能に必要な最低限のプロトコルをFPGA(Field Programmable Gate Array)で実現したWebサーバー専用装置である。ハードウエアによるHTTPサーバー機能に加え,Perl言語処理系やServletコンテナといったWeb連携アプリケーションを動作させられるよう,半導体メモリーとLinuxを搭載している。メモリーはDDR-SDRAMで,容量は最大44Gバイト。ファイル・システムは800万個のファイルを扱える。Linux上でNFSクライアントを起動すれば,外部のファイル・サーバーをNFSマウントする運用も可能である。

 TCPコネクションのためのソケット(Socket)数は,ハードウエアで物理的に50万個用意した。TCPポート数は6万5536個までの制限があるが,ソケットはWebクライアントのIPアドレスごとに6万5536個共存できるため,同時に50万コネクションを張れる。大量の同時接続コネクションに加え,TCPコネクションが3-Wayハンドシェイクを終えてEstablishedステートになったまま放置された場合に強制的にコネクションを切断してソケットを開放する運用ができる。タイムアウトまでのしきい値は設定可能である。DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃にも有効である。

 機能上位版のfreeoceanが備えるキャッシュ機能は,正規表現でURIを指定することでキャッシュ・ルールを定義できる。GETメソッドを用いたURIに対しても,キャッシュするURIとキャッシュしないURIを正規表現で記述すれば,期待通りに動作する。

 高機能と高性能を両立させるノウハウは,「開発に用いた独自の高級言語にある」(同社)。FPGAのハードウエア記述に用いるVHDL言語に変換しても性能が落ちない高級言語処理系を持っているという。今後は,2006年秋から冬にかけて,ファイアウォール機能を備えた上位機を800万円(税別)で出荷するほか,SSLアクセラレータ機能などを追加する予定。また,容量1Tバイトの専用外付け半導体メモリーを価格1000万強で出荷するという。