トレンドマイクロは7月5日,2006年上半期(1月から6月)に同社のサポートセンターに寄せられたウイルス(悪質なプログラム)の報告件数を公表した。それによると,スパイウエア「SPYW_GATOR(ゲーター)」が1718件と最も多く,2番目に多かったボット「WROM_RBOT(アールボット)」の480件を大きく上回ったという。
同社では,サポートセンターに寄せられたウイルスに関する報告や相談件数を毎月集計し,「ウイルス感染被害レポート」として公表している。今回公表されたのは,1月から6月までの数字を集計した“上半期版”。「感染被害レポート」としているものの,実害があったという報告だけではなく,単なる発見報告も件数に含まれる。
2006年上半期中に寄せられた報告件数は4万2741件。前年上半期(1万6197件)や下半期(2万9011件)と比較すると,大幅に増加している。この理由として同社では,SPYW_GATORのようにユーザーの情報を盗むスパイウエアや,広告などを勝手に表示する「アドウエア」が増えているためだと分析する。一方で,かつて“主流”であったメールやネットワーク経由で感染を広げるウイルスに関する報告は減少傾向にあるという。
報告件数が多かったウイルスは以下のとおり。
- SPYW_GATOR(スパイウエア) 1718件
- WORM_RBOT(ワーム型) 480件
- ADW_WEBSEARCH(アドウエア) 473件
- JAVA_BYTEVER(その他) 464件
- ADW_SHOPNAV(アドウエア) 433件
- ADW_HOTBAR(アドウエア) 411件
- TROJ_AGENT(トロイの木馬型) 357件
- ADW_NDOTNET(アドウエア) 348件
- TROJ_DLOADER(トロイの木馬型) 325件
- ADW_CMDDSKTOP(アドウエア) 210件
報告件数が多かったSPYW_GATORは,2003年10月に発見されたスパイウエア。Webサイトへのログイン情報を管理するユーティリティ(プログラム)として配布されているが,ユーザーが閲覧したWebの履歴を収集する機能を持つためスパイウエアに分類されている。SPYW_GATORは,毎月公表される「ウイルス感染被害レポート」においても,ここ数カ月は“首位”をキープし,6月中の報告件数も220件で1位だった(関連記事:4月もスパイウエア「ゲーター」の報告件数がトップ)。
このほか,2006年上半期のトピックとして,(1)Winny(ウィニー)を悪用するウイルスによる情報漏えい,(2)ゼロデイ・アタックの日常化,(3)ボットの定番化,(4)イベント便乗型ウイルスの出現---を挙げている。(4)については,2月には冬季オリンピック,6月には現在開催中のサッカー・ワールドカップに便乗したウイルスが出現しているとして注意を呼びかけている(関連記事:ワールドカップ便乗ウイルスに注意)。
◎参考資料
◆2006年度上半期および6月のウイルス感染被害レポート