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 アスク ドット ジェーピーは2006年6月26日から、個人ユーザーによる投稿形式の動画共有サービス「Ask ビデオ」のベータ版を公開している。このサービスは無料のユーザー登録をすれば、デジタルカメラや携帯電話で撮影した動画をインターネット上に公開できるというもの。同社の大江知之COOにサービスの狙いなどを聞いた。

■この時期にAsk ビデオを開始した背景は。

 回線が速くなり、さまざまな動画配信サービスが始まったことで、インターネットで動画を見ることがユーザーの間で一般化してきた。一方で、最近ではブログやSNSなどのCGM(Consumer Generated Media:消費者が情報を発信するメディア)が注目されている。そこでまずは動画にフォーカスして、CGM的なサービスを広げていこうと考えた。「Ask.jp」ではもともと4月にメールで動画を投稿できる「Ask Vキャスター」というWebサイトを公開していた。システムは違うもののAsk ビデオにはこのノウハウが継承されている。

 他の大手Webサービス事業者もこの種の動画投稿サービスを視野に入れていると思うが、なるべく早くサービスを立ち上げることで、「動画ならAsk.jp」というイメージをユーザーに持ってもらいたい。

■米国の大手動画投稿サービス「YouTube」では、ユーザーがオリジナルで作成した動画の他に、著作権上問題のあるコンテンツが多数出回っている。こうした問題にはどう対処するのか。

 YouTubeを見たところ、投稿された動画のうちテレビ番組のキャプチャーなど既存コンテンツのコピーが7~8割を占めていた。もちろんAsk ビデオでは、著作権上で明らかに問題のあるものや違法なものは削除していく。具体的にはテレビ番組のキャプチャーや映画DVDのコピー、アダルトや残酷描写のあるコンテンツなどだ。トランスコスモスでブログの監視を実施している部隊がチェックを受け持っている。ただし、むやみに規制を強くしすぎると、コミュニティとしての勢いが削がれてしまうので、削除対象とするコンテンツの詳細な規定を決めるのには、試行錯誤している部分もある。

 今はユーザーも「このコミュニティでは、どこまでの内容が許容されるのか」試しているようなふしがある。サービス開始の初日は投稿される動画の4割くらいが問題のあるコンテンツだったが、削除するなどこちらの対応をユーザーが見て、翌日にはそれが2割ぐらいに減っていた。サービス開始直後からページビューは1日数万件単位に達している。ユーザーからの投稿にも手応えを感じている。規制すべきところはしっかり規制しながら、この勢いを上手く誘導して健全なCGMにしたい。具体的な内容は未定だが、今後はユーザーが積極的にオリジナル動画を投稿していくような企画も実施する予定だ。

■広告による収益を見込んだビジネスモデルなのか。

 その通りだ。将来、Ask ビデオを基に動画広告配信のプラットフォームが作れないかと考えている。今のところはベータ版ということもあり、Ask ビデオ内に動画広告を流すことはしていない。しかし、一般ユーザーの投稿動画に混ざって何らかの形で動画広告が出てくるような仕組みにすることも検討している。もちろんその際には、視聴するユーザーに対して、投稿動画なのか広告なのかをはっきり区別できるように表示などを入れる予定だ。流す動画広告も、従来のテレビCMとは差別化したい。例えばある製品の開発者が自らその製品について語るなど、個人の顔が見えるものなどを考えている。また、Ask ビデオには、ブログに投稿動画を貼り付けられる機能が備わっている。この機能を使って、動画をアフィリエイトに活用するなど、さまざまなやり方が考えられると思う。

■変更履歴
記事掲載後、アスク ドット ジェーピーから訂正の連絡がありました。Ask ビデオのサービス開始直後、「1日数万件単位の投稿があり」というのは、「1日数万件単位のページビューがあり」の誤りとのことでした。
日経パソコンの取材時には、「1日数万件単位の投稿があり」との話でしたが、事実と異なるとの申し入れでしたので、訂正させていただきます。本文は修正済みです。[2006/07/07 17:45]