図1 オプションで各種インタフェースやFeliCaポートなどを備えたポートリプリケーターが用意されている
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図2 左がHDDモデルで、右がフラッシュメモリーモデル。キーボード部分のカラーがシルバーからブラックに変わって洗練された印象になった
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図3 各種ソフトウエアの起動速度などをフラッシュメモリーとハードディスクで比較した。数値は各動作を3回行った平均値
図3 各種ソフトウエアの起動速度などをフラッシュメモリーとハードディスクで比較した。数値は各動作を3回行った平均値
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 ソニーが小型パソコン「VAIO type U VGN-UX90PS」「同 VGN-UX90S」を発表した(図1)。5月に発売したハードディスク搭載モデル「VAIO type U VGN-UX50」とほぼ同じきょう体だが、キーボード部分のカラーをシルバーからブラックに変更(図2)。ワンセグチューナーを内蔵している点も新しい。しかし最大の特徴は、ハードディスクの代わりに16GBのフラッシュメモリーを採用している点だろう。

 ハードディスクをフラッシュメモリーに置き換えることによるメリットとしては、軽量化・高速化などが考えられる。例えば重さについて見てみると、HDDモデルの約520gに対してフラッシュメモリーモデルは492gと、ワンセグチューナーを追加したにもかかわらず軽くなっている。約28gとはいえ、手に取るとその違いは明らかだ。付属バッテリーによる電池駆動時間は、HDDモデルの約3.5時間(ソニーによる公称値)から、フラッシュメモリーモデルでは約4時間(同上、CPUにCore Soloを選択した場合)に向上している。

 その他の基本的なハードウエアスペックなどはこちらの記事をご参照いただくとして、今回は主にアプリケーションの高速化について簡単な実験を交えつつ、フラッシュメモリーモデルの特徴を見てみよう。

 まず、ソフトウエアの起動速度はかなり向上している。VAIO type U VGN-UX50(HDDモデル)とVAIO type U VGN-UX90PS(フラッシュメモリーモデル)とで、Windowsや各種アプリケーションの起動時間を比較してみると表のようになった(図3)。なお、この数字は試作品を使って編集部で出した実測値であり、HDDモデルとフラッシュメモリーモデルでは搭載CPUなどハードウエア構成が異なっている部分もある。そのため、厳密な比較ではなく、あくまで参考値としてご覧いただきたい。

ソフトの起動時間が1/3に!

 VAIOの公式Webサイトによると、フラッシュメモリーモデルでのアプリケーション起動時間は、HDDモデルに比べて約3~6倍速くなるという。編集部での測定ではそこまで良い結果は得られなかったものの、アプリケーションの起動では概してフラッシュメモリーモデルの方が高速であることが分かった。アプリケーションにもよるが、HDDモデルに比べて約1.5~約3.3倍の結果が出ている。Windowsの起動もかなり速く、約1.7倍となった。

 一方で、Windowsが起動している状態から休止状態に移行するまでにかかる時間はフラッシュメモリーの方が大幅に長く、休止状態からの復帰にかかる時間には両モデルでほとんど差が見られないという結果が得られた。

 最近はフラッシュメモリーの低価格化が進んでいるが、ハードディスクに比べるとまだまだ割高だ。そのため、「VAIO type U VGN-UX90」シリーズでもフラッシュメモリーの容量は16GBしかない。OSやアプリケーションのインストールに必要とする分を差し引くと、データの保存に使える容量はさらに少なくなる。この点は気になる人もいるだろうが、当面は外付けハードディスクと併用するなどしてカバーするしかない。

 とはいえ、「VAIO type U」のフラッシュメモリーモデルは非常に挑戦的な製品だ。とにかく新しいもの好きなユーザー、小型化やフラッシュメモリーの速度にメリットを感じるユーザーには魅力的だろう。この製品に関しては日経パソコン7月24日号でも、さらに詳しい記事を掲載する予定だ。