韓国で固定通信最大手のKTと携帯電話最大手のSKテレコムは6月30日,韓国版モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)である「WiBro」(ワイブロ)の商用サービスを開始した。時速60kmで移動しながらでも,ADSL(asymmetric digital subscriber line)並みのブロードバンド接続を実現する。
提供する端末は,両社ともPCカード型端末。ノート・パソコンに接続して,インターネット接続用途に利用することを想定している。端末価格は,KTが27万ウォン(約3万3000円),SKテレコムが約30万ウォン(約3万6000円)。両社とも10万ウォン(約1万2000円)を補助するとしているため,実質的なユーザー負担は日本円で約2万円強となる。端末メーカーについては,SKテレコムがサムスン電子製であることを公表している。
KTは,今後の端末ロードマップも同時に公表した。2006年下半期に,音声通話やショート・メッセージ機能などを付加したWiBro機能搭載のPDA端末を発売する。さらに年内には,WiBro機能を内蔵したノート・パソコンや,動画プレイヤー機能付きの携帯ゲーム機を発売する計画としている。
サービス内容は,両社ともインターネット接続サービスを提供。KTはこれに加え,(1)ニュース,スポーツなどの動画配信サービス「Hot Clip」,(2)動画をアップロードできるブログ・サービス「mLog」,(3)映像資料などを共有できるテレビ会議サービス「Multi-Board」,(4)メールやインスタント・メッセージ,ファイル交換などを統合した「Communicator」といった4種類の独自サービスも用意する。
KTは月1900円で使い放題のプロモーション料金を用意
通信料金は,KTは「スリム」,「セイバー」,「ベーシック」,「スペシャル」,「プレミアム」の5種類を用意した。いずれも一定のデータ転送量までは基本料金のみで通信できるが,一定量を超えると従量課金になる「部分定額制」を採用している。スリムは,月額1万5000ウォン(約1800円)で300Mバイトまで通信できる。300Mバイトを超えた場合は,1Mバイト当たり70ウォン(約8.5円)の従量課金。ほかの料金体系も同様の仕組みで,基本料金で利用できるデータ量が最も多いプレミアムでは,月額4万ウォン(約4900円)で3Gバイト,超過時に1Mバイト当たり7ウォン(約0.85円)となる。
ただし年内は,利用者拡大を目的にプロモーション料金を設定する。セイバー,ベーシック,スペシャルの基本料と超過利用料を7割引きにするほか,月額1万6000ウォン(約1900円)で使い放題となる「WiBroFree」という料金メニューを提供する。
一方のSKテレコムは,2007年6月までのプロモーション料金のみを発表した。具体的には月額3万ウォン(約3600円)で使い放題とする。2007年7月からは,KTと同様の部分定額制に移行する計画である。
当初はソウルとその周辺でスポット的に展開
提供エリアは,当面はソウル市とその周辺都市でスポット的に展開する。KTはサービス開始当初,シンチョンやカンナムなど5地区と,主要な地下鉄区間や高速道路などを提供エリアとする。その後,年末までソウル全域および隣近都市に提供エリアを拡大する計画だ。
SKテレコムはコリョ大学やシンチョンなどのソウル市内の6地区で提供。段階的にサービス地域を拡大し,年末までにソウル市内の12地区をエリアに追加する予定だ。