総務省は2006年6月27日,2010年度を目標にブロードバンド(高速大容量)通信サービスの世帯カバー率を100%に引き上げるインフラ整備推進策を示した「次世代ブロードバンド戦略2010(案)」を公表した。今後総務省は,全世帯ブロードバンド化に向けて全国レベルと県単位レベルの2階層に分けて,インフラ整備を推進する協議会を設置する。そのうえで,民間主導を原則にブロードバンドサービスの普及を目指すとしている。

 このような体制で進める全世帯ブロードバンド化の推進では,基本的な考え方として,!)通信事業者間の競争に対して中立的であること,!)FTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)だけでなくWiMAX(IEEE802.11e)などの無線技術や,FTTHとADSL(非対称デジタル加入者線)を組み合わせた融合サービスを使うなど技術に対しても中立的であること,!)ブロードバンドサービスを活用する新たな需要を創出すること――の3点を強調した。

 この3点がどれだけ実効性を保てるかは,今後の事業者間の競争ルールの在り方にも大きく影響を与えそうだ。総務省がゴールに掲げる2010年時点では,NTTグループは,FTTHサービスを加入電話利用者の約半分に当たる3000万回線まで普及させることを目標にしている。その結果,FTTHサービスは需要が集中し,効率的にインフラ整備ができる都市部を中心に提供されるとみられる(詳細は日経ニューメディア2006年7月3日号に掲載)。