ユーザーサービスディビジョンコミュニティ開発グループの高橋太志プロデューサー(左)とシステム企画部の二口英幸氏
ユーザーサービスディビジョンコミュニティ開発グループの高橋太志プロデューサー(左)とシステム企画部の二口英幸氏
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 国内最大の化粧品クチコミサイト「@cosme」を運用するアイスタイル(東京・港)は、5月にサイトをリニューアルした。クチコミ情報の全文検索機能などを導入し、ユーザーの利便性向上を図る。

 1999年にスタートした@cosmeは、ユーザーが化粧品の使用感などを登録する「クチコミサイト」として急成長し、現在までに400万弱のクチコミ情報を蓄積している。サイトに掲載する広告に加え、化粧品のネット販売や、ユーザーの生の声を生かした化粧品メーカーへのマーケティング支援サービスなども収益源になっている。

 従来、同サイトでは商品名やメーカー、ブランド名、アイテムなどによる検索機能を提供していた。例えば「ソフィーナ(花王の化粧品ブランド)」の「パウダーファンデーション」で検索すると、商品情報と、その使用感などのクチコミを閲覧できるという具合だ。

 「商品別・アイテム別の検索を『縦軸』とすると、リニューアル後のサイトでは、機能や気分といった『横軸』でクチコミ情報を検索することが可能になった」とユーザーサービスディビジョンコミュニティ開発グループの高橋太志プロデューサーは話す。例えば、皮膚の「テカリ」を防ぐという目的からクチコミを検索して、化粧水や化粧下地を探すといった使い方ができる。

 ユーザーの「気分」に応じた検索も可能だ。例えば恋愛中の女性が、「恋コスメ」というキーワードで検索して、同じような状況のユーザーが登録したクチコミから「これが私の恋コスメです」と薦めるマスカラやルージュを探す例もあるという。@cosmeのクチコミ情報では、「恋コスメ」のほか「コスパ(コストパフォーマンス)」や「リピ確定(リピート購入確定)」といった独自の言い回しが多く使われている。全文検索機能によって、こうしたキーワードによる検索を素早く正確に行えるようにすることで、400万件のクチコミ情報をフル活用する。

 大量のクチコミ情報を自由なキーワードで検索するために採用したのが、アクセラテクノロジ(東京・渋谷)のサイト内コンテンツ検索ソリューションだ。「300万~400万件のテキストデータの検索に適した全文検索エンジンは意外と少ない」とシステム企画部の二口英幸氏は指摘する。クチコミ検索の実現に向けて、この数年検索エンジンを探してきたが、「50万件までの検索が可能な低価格品か、1000万件以上の検索が可能な高額品に市場が二分され、当社のニーズに見合ったものがなかなか見つけられなかった」(二口氏)という。

 今回採用したエンジンでは事前にキーワード辞書を整備する必要がないため、「チョ→」などのように記号を使ったキーワードや「(^o^)」といった絵文字での検索も可能となっている。「今後はメールマガジンや@cosme内の特集記事で、検索機能の便利な使い方についての情報を発信し、ユーザーが検索を活用できるよう啓もうしていく」(高橋プロデューサー)

 アイスタイルでは今回のリニューアルによって、ユーザー数の増加と、サイト利用時間の向上を図る。同社のユーザーは、属性情報を登録してID(識別符号)を発行し、クチコミの書き込みを行う「@cosmeメンバー」と、情報の閲覧のみを行う一般ユーザーに大別できる。「@cosmeメンバー」は約80万人に上るが、最近は閲覧のみを行うユーザーも増えている。メンバーに比べるとサイトへのロイヤルティが低い一般ユーザーを多くサイトに吸引し、長時間滞在させることが重要な課題となる。リニューアル後のページビューの実数は公開していないが「検索数は1~2割増加し、サイトの利用時間が長くなっていることをうかがわせる」(高橋プロデューサー)。

 インターネットの世界では、サイト間でユーザーの「時間を取り合う」競争が起こっている。グーグルやヤフーといった有力サイトに伍して、より多くのユーザーを@cosmeに取り込み、長く滞在させるため、今後も半年に一度程度の割合で大規模な機能拡張を続けていく予定だ。