「お守りキッズ」の画面。児童が歩いた軌跡が青い線で表示される
「お守りキッズ」の画面。児童が歩いた軌跡が青い線で表示される
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 大阪教育大学は2006年7月より、携帯電話のGPS機能を使った児童防犯システム「お守りキッズ」の実証実験を始める。

 同システムは、システムインテグレーターのアイティフォーが開発したアプリケーションと、KDDIのau携帯電話を組み合わせたもの。あらかじめ設定しておいた通学領域を児童が大きくはずれたり、一定の場所にあらかじめ設定した時間より長くとどまったりした場合、「連れ去り」や「監禁」を疑い、保護者や学校関係者に音声通知付きの警告メールを発信する。加えて、児童が学校に到着した時点、学校から自宅へ到着した時点で、無事に到着したことを保護者や学校関係者へメールで自動通知する「到着通知機能」も搭載する。

 通学領域は、児童ごとに保護者が自由に設定できるのが特徴。例えば、通常の日は小学校と自宅との間を設定しておき、毎週金曜日にはいったん自宅へ帰ってから水泳教室へ行き、自宅へ帰るといった設定ができる。保護者は自宅、学校、塾などの住所を入力するだけで済み、サーバー側が自動的に監視領域を設定する。

 児童の位置情報は6秒ごとに児童が持つ携帯電話内に蓄積され、3分間の蓄積データ(合計30データ)が3分ごとにサーバーへ自動送信される。精度の低いデータ(全体の10%程度)を排除し、児童が歩いたルートを地図上に青色の線で表示する。保護者はインターネットに接続されたパソコンのブラウザーから閲覧できる。

 緊急時には、児童が携帯電話の特定のボタンをひと押しするだけで学校関係者やクラスの保護者全員へSOSメールを一斉同報することもできる。

 「お守りキッズ」はASP型サービスで、月額利用料金は1500円(税別)。学校や学習塾といった90名以上での申し込みを基本としており、初期導入費用は30万円(税別)から。使用できる携帯電話はKDDIの「W32T」「W41SA」の2機種。携帯電話の月額基本料金が別途かかるが、実証実験中は大阪教育大学が負担する。

 実証実験の対象となる学校は、大阪教育大学附属平野小学校、同附属池田小学校、同附属養護学校の3校。この3校から参加を希望する親子を選抜し、当初十数名規模でまずは開始。2006年9月からは100名規模へ拡大する予定。実験期間は2007年3月末まで。

 大阪府池田市では2001年6月に児童殺傷事件が発生。以来、池田市ではITを活用した児童の安全対策を推し進めている。2004年6月には不審者情報など児童の安全に関する緊急情報を携帯電話に一斉配信する「ANSINメール」を始めている。