米Neowareで執行副社長を務めるWei Ching氏
米Neowareで執行副社長を務めるWei Ching氏
[画像のクリックで拡大表示]
米Neoware製シン・クライアント端末
米Neoware製シン・クライアント端末
[画像のクリックで拡大表示]

 黒田電気は7月,米Neoware(旧Neoware Systems)製のシン・クライアントを発売する。Neowareはシン・クライアント専業ベンダーで,世界シェア第2位という。OSとしてWindows XP Embeded,Windows CE Embeded,Linuxの3種類を選べることなどが特徴。

 シン・クライアント端末は,組み込み用に機能を限定したWindowsやLinuxをOSとして持ち,その上で画面情報端末のクライアント機能やWebブラウザ,3270端末エミュレータといった特定のアプリケーションだけを動作させる専用コンピュータである。

 現在,シン・クライアント端末のシェアNo.1は,米Wyse Technologyである。一方,米Neowareのシェアは「全世界で26%」(米Neoware)であり,Wyseに次ぐナンバー2の位置にあるという。米Neowareの端末を扱う国内企業は黒田電気が初。2006年4月から日本IBMと黒田電気が共同で試験的に先行出荷してきた。「すでにシステム開発会社が,セキュリティの維持を目的に画面情報端末用途で100台弱導入した」(日本IBMの城田正和氏)。

 米Neoware執行副社長(Executive Vice President)のWei Ching氏は,シン・クライアントの優位性を“マネージド・クライアント”であることと話す。パソコンなどの汎用コンピュータと比較して,動作するソフトウエアを限定したシン・クライアント端末は,管理が容易であるとする。故意に機能を絞ることによって,運用管理コスト削減を狙う。

 「画面情報端末としても利用できるが,Webブラウザ専用端末としての需要も大きい」(Wei Ching氏)。シン・クライアントは,イコール,画面情報端末というわけではないのである。画面情報端末ユーザーであれば,確かにWebブラウザでさえもサーバー・サイドで動作させられる。だが,Webブラウザ機能をローカルで持つことによって,画面情報端末を使わないユーザーであっても,シン・クライアント端末を使って運用管理コストを削減できるようになるとする。「パソコンを管理するコストは膨大だ。管理された専用端末を使うメリットは大きい」(Wei Ching氏)。

 シン・クライアントはまた,カスタマイズによって専用端末として使用できる。Webブラウザを使えないように設定してセキュリティを高めるといった簡単なものから,デバイス・ドライバの追加などによってPOSレジスタ専用端末として使ったり,専用のアプリケーションを導入して動作させるといった使い方ができる。米Neowareの場合,カスタマイズしやすいよう,OSとして,Windows XP Embeded,Windows CE Embeded,Linuxの3種のOSをサポートする。

 黒田電気は2006年7月上旬,Neowareと独占販売代理店契約を締結する予定。国内で初年度10%のシェアを狙う。「SIベンダーを経由したカスタマイズ込みの案件が中心になる」(黒田電気の百合史剛氏)という。