写真1 総務省総合通信基盤局高度通信網振興課の玉田康人・高度通信網推進官
写真1 総務省総合通信基盤局高度通信網振興課の玉田康人・高度通信網推進官
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 総務省は6月27日,ブロードバンドを使える地域と使えない地域との格差(デジタルデバイド)の解消に向けた新戦略「次世代ブロードバンド戦略 2010」の案を公開。同案への意見募集を開始した。意見募集の締め切りは7月27日。同省は寄せられた意見を踏まえ,8月上旬にこの戦略を確定させる予定だ。

 総務省は昨年7月まで,地方公共団体や通信事業者,識者などを集め「全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会」を開催。最終報告書となる「次世代ブロードバンド構想 2010」を取りまとめて公開した。ここで掲げた整備目標は大きく二つ。(1)2008年度までに全域でブロードバンドが開通していない市町村を無くし,2010年度までにはブロードバンドが未開通の地域(世帯数)をゼロにする,(2)2010年度までに上り方向と下り方向とも30Mビット/秒を超える“超高速ブロードバンド”の世帯カバー率を90%以上にする−−である。この目標は今回の新戦略でも同じである。

 今回公開した文書は,構想から戦略に変わっている。いずれも,デジタルデバイドの解消には通信事業者と国,地方公共団体が連携しての取り組みが不可欠とのスタンスを取る。しかし今回の戦略には具体策として,解消に向けた取り組みを推進する体制作りを加えた。全国規模,各地方にある総合通信局の単位,都道府県単位の3レベルで,協議会や懇談会に相当する組織を形成。解消策を協議するほか,解消までのロードマップを作る。

 全国レベルの組織は,解消策をとりまとめて基本方針を示す。総合通信局レベルの組織は各地方のとりまとめ役を担い,都道府県レベルの組織が基本単位となる。「この体制でデジタルデバイド解消に向けた全国運動を展開していく」(総合通信基盤局高度通信網振興課の玉田康人・高度通信網推進官,写真)。全国レベルの組織は8月中をめどに作る計画で,現在人選を進めている。都道府県レベルの組織やロードマップ作成も,年内には終えたい意向だ。

 今年3月末現在,ブロードバンドが未整備の世帯数は306万。昨年3月末は345万世帯だった。ブロードバンドが全域で未開通の市町村は,3月末現在で39ある。FTTHを利用できる世帯数は,昨年3月末の3590万(世帯カバー率72%)から今年3月末には4015万(同80%)と増えている。

 最近の動きとして,国は二つの策を用意している。一つは今年度から始めた市町村に対する補助金制度「地域情報通信基盤整備推進交付金」。もう一つは,5月に一部改正し施行した「電気通信基盤充実臨時措置法」と呼ぶ通信事業者の投資にインセンティブを与える法律である。