セキュリティ・ベンダーの英Sophosや米Websenseは6月26日,偽情報で特定企業の株価を吊り上げるスパム(迷惑メール)が大量に出回っているとして注意を呼びかけた。以前からこういったスパムは多数出回っており,Sophosによれば,スパムの15%は株価の操作を目的としたものであるという。
両社によれば,6月21日以降,ある化粧品メーカーの株価が上がるとする英文のスパムが大量に送信されたという。スパム対策ソフトを回避するために,メールの本文は画像ファイルとしてHTMLメールに埋め込まれている。Websenseでは,今回のスパムはボットネットから送信されたものと推測する(関連記事:1万台以上のボットを操っていた人物逮捕,1日に1800万通のスパム送信)。
このスパムが原因で,株価は一時的に急上昇し,その後,下降に転じた。スパム送信者は,株価の上昇時に売り抜けて利益を得た可能性が高い。
このように,偽の情報を流して株価を吊り上げて売り逃げをする違法な手口を「pump-and-dump」と呼び,それを目的としたpump-and-dumpスパムが多数出回っているという。SophosやWebsenseでは,このような手口にだまされないよう改めて注意を呼びかけている。
◎参考資料
◆Cosmetics company's stock price rises sharply following spam campaign(英Sophos)
◆What goes up must come down(米Websense)
◆High volume "pump and dump" stock spam(米Websense)