インテル株式会社 代表取締役共同社長 インテルコーポレーション セールス&マーケティング統括本部 副社長 吉田 和正氏
インテル株式会社
代表取締役共同社長
インテルコーポレーション
セールス&マーケティング統括本部
副社長
吉田 和正氏

 インテルは1968年の創業以来、シリコンの技術革新における世界的なリーダーであり、コンピューターと通信の分野で長くリーダーシップを発揮、今では、従業員10万人弱、年間売上およそ4兆円の企業に成長してきました。

 そして、今、「メモリー企業」から「マイクロプロセッサーのインテル」へ、さらに、「プラットフォーム企業」へと変貌しようとしています。38年間使用してきたブランドロゴも変え、「さぁ、その先へ」をキャッチフレーズに、変革を図ろうとしています。

 その変革の中で、「IT」という存在をいかに位置づけるか。我々は、企業(エンタープライズ)、個人(ホーム)、モバイルなど5つの事業領域にフォーカスしながら、それぞれの領域、市場の特性に合わせて、どのようにITを組み合わせていくかをベースに置いてビジネスモデルを考えています。その意味では、我々、インテルにとっても、皆さんの会社と同様、ITとは何か、ITをどのように捉えて経営に反映すべきなのかは、非常に大きな課題でもあります。

 一般に、企業経営者の方々がITに対して抱く疑問には、次のようなものがあります。「予算が不足しそうだ」「収益への貢献が明確ではない」「実行と運用に障害が多い」「専門用語が分かりにくい」「社内ニーズへの対応が遅い」…。

 これらは、インテルにとっても共通するところです。IT導入の目的は、最終的にはそれにより、企業は成長し、競争力を強化することにあります。従って、常にITの導入が「競争力に結びついているか?」を確認しなければなりません。

 インテルにとってのIT部門の挑戦の例を挙げると、例えば、「いかに消費電力の低いサーバーを作るか」。実は、サーバー当たりの年間の電気代は3000ドル(以下、データの出典:Gartner 2004)にも及び、毎年20%ずつ増加、当社のデータセンターでは電気代は人件費に次ぐ高いコストになっています。

 次に、効率的なハードウエア資源の活用。サーバー資源の平均的な稼働率も実は15%以下で、年々高まるセキュリティへーのニーズへの対応を含めて、いかに稼働率を高めるかは重要な課題です。

 また、ビジネス拡大に向けたIT投資の予算のうち、実際には89%が既存のビジネスの継続に費やされるというデータもあります。経営者としては感覚的には「既存ビジネス」50対「将来への投資」50は配分していると思っていますが、拡大に向けた投資にはほとんど使われていないのが実情です。

 同様にインテルにとっても、IT関係の社員が全体の8~9%を占め、サーバーは7万台に及び、拠点も27カ国79カ所にまで広がった今、いかにITの運用管理をスムーズに行うかは、大きな課題となっています。高い情報ソリューションに基づくビジネス価値と競争力を提供することにより、インテルのこれからの継続的な成長を支援するためにも、ITの役割はますます重要になります。

 言うまでもなく、ITは企業の資産を最大限に高めて、成長力を向上させるためにこそ使われるものです。ITは使い方次第、「使って、なんぼ」です。そのITの力を生かすためには、強力なITの組織を持つことが重要となります。