「総務省がNTT東西地域会社の光アクセス回線の接続料(他事業者が支払う設備使用料)を大幅に引き下げる検討に入った」との一部報道に対し,総務省とNTT(持ち株会社)は2006年6月9日,「そのような事実はない」と否定した。

 ただ今回の大幅引き下げの観測は,総務省の「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」が,事業者間競争のルール見直しにおける主要論点の一つとして「光アクセス回線の接続料の在り方」について検討していることが発端となっている。その検討の行方を考えると,うなずける面もある。

 現行制度では光アクセス回線の接続料を,将来の一定期間の需要予測を加味して,初期投資の時期に実際にかかったコストよりも低く原価を設定する「将来原価方式」を採用して算定している。懇談会はこれまでの議論で,この方式が今後も光アクセス回線の接続料の算定法として妥当かどうかを検証すべきとの考え方を示していた。こうした考え方そのものは,接続料の引き下げを直接導くものではない。だが昨今のFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)サービスの加入者数の増加ペースや,集積した需要による光アクセス回線の共有率の上昇といった情勢からすると,結果として接続料が引き下げられる可能性は高い(詳細は日経ニューメディア2006年6月26日号に掲載)。