KDDIは6月22日,無料通話分の余りを無期限で繰り越せるサービス「無期限くりこし」を8月の通話料から適用すると発表した。これは,8月に開始予定だった繰り越し期限を3カ月に限定した「3カ月くりこし」のサービス内容の変更に当たる。予定していたサービス名も変更した。

 基本料金3780円に1カ月当たり1050円分の通話料金(無料通話分)が含まれるCDMA 1X WINの「プランSS」を例に取ると,例えば8月に800円の無料通話分を余らせ,9月に1050円の無料通話分を余らせた場合に,10月には1850円の無料通話分が繰り越され,10月は合計で2900円分の無料通話が可能になる。こうした繰り越しを無期限に繰り返すことが可能になる。NTTドコモやボーダフォンも同様のサービスを提供しているが,ドコモは2カ月,ボーダフォンは1カ月に繰り越し期間が限られている。

 ただし新サービスで繰り越せる額は,各料金プランごとに上限が存在する。CDMA 1X WINのプランでは,最も無料通話分が少ないプランSSが5250円分,最も無料通話分が多い「プランLL」が3万7800円分を繰り越せる。これを超えた分は自動的に切り捨てられる。

 サービス開始の約1カ月に急きょ内容を変更した理由についてKDDIは,「社内で検討した結果,3カ月繰り越しよりもユーザーが満足できる内容に変更した」とのみ説明する。繰り越し額の増加は減収要因になるが,「業績見通しにも折り込み済み。繰り越しの増額による減収よりも,他社からユーザーを獲得することによる増収の方が大きいと予想している」(KDDI)。

 11月までに携帯電話の電話番号をそのまま他社でも利用できる「番号ポータビリティ制度」が開始され,ユーザーの事業者乗り換えが多数起こると予想されている。KDDIは今回の発表で料金面での差異化を打ち出し,他社ユーザーの獲得を狙う。