総務省は6月21日,「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」(IP懇談会)の第8回会合を開催した。今回は総務省がMVNO(仮想移動体通信事業者)やネットワークの中立性などに関する現状や課題について説明。それを基に議論した。

 MVNOに関しては総務省から,「携帯電話事業者は,MVNOから接続請求があれば“原則”応じる義務がある」という見解が示された。「MVNOが請求する接続は電気通信事業法の第32条に定める電気通信設備の接続に相当する」というのがその理由だ。このような見解を示したのは今回が初めて。ただしこれは,携帯電話事業者に対して開放を義務付けるものではない。「都心部で周波数が足りない」「設備を強化すると赤字になる」といった場合は“例外”も認めるとした。

 総務省では今後のMVNOの本格的な立ち上がりに備え,昨年末から政策検討を進めている。既に関係者から2回にわたって意見を募集。7月中に3回目の意見募集を実施し,2002年6月に策定した「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用に関するガイドライン」の見直しに入る。前述した例外の判断基準なども盛り込まれる見通しだ。

 一方,ネットワークの中立性については,日本よりも議論が進んでいる米国の事例が紹介された。米国では,ネットワークの中立性の問題に対して「ブロードバンド開発を促進し,公共インターネットの解放性と相互接続性を維持・促進するための4原則」という声明をFCC(米連邦通信委員会)が打ち出している。米国連邦議会でも「コンテンツ,アプリケーション,サービスに応じた課金を禁止する」などのさまざまな法案が提出・議論されている最中という。

 7月14日に開催予定の次回会合から報告書案の議論に入る。