「ネットワークはコンピュータで実現されてきた機能を取り込み,仕事や生活を変えていく」−−。2006年6月20,米国ラスベガスで開催中の「Cisco Networks 2006」の基調講演で,シスコシステムズのジョン・チェンバーズ社長兼CEOはこう訴えた(写真1)。
その変革の一例として挙げたのが,音声,データ,メッセージングが融合する「ユニファイド・コミュニケーション」。これが今,企業に浸透し始めており,仕事のやり方を変え,生産性を上げているとした。
その次の波として示したのが「テレ・プレゼンス」。ネットワークを通してより密につながることで,遠隔地にいる人間も物理的な壁を越え,あたかも近くにいるかのようにコミュニケーションできる形態である。具体的な例としてチェンバーズ氏は,会議室でその場にいる人と映像で投影された人が違和感なく会議できるシステムを示した。第1弾となる製品は今秋にも登場するという。
続いて,野球場を例に生活の変革をデモンストレーションした。具体的には,(1)野球場脇のレストランでテーブルに置かれた端末を使っての食事の注文や野球中継の視聴,(2)携帯電話端末とキオスク端末を連携させたチケット購入,(3)ユーザーの位置に応じた広告配信,(4)米マイクロソフトが提唱する小型パソコン「UMPC(Ultra Mobile PC)」を想定した情報配信,(5)観客のプレゼンスを活用した新しいサービス−−などだ。
(4)については,投手の配球や打者の打率など選手の情報を調べるサービスが示された(写真2)。一方(5)については,自動的にカメラで観客の応援風景を撮影し,販売するというサービスを例示した。撮影されると対象となるユーザーのUMPCにメッセージが届き,気に入ればその場で購入できるという(写真3,写真4)。
チェンバーズ氏は最後に「これまでのネットワーク・システムはいかに広く,いかに速くつながるかが成長を牽引してきた。今後はユーザー体験やユーザー協調などが成長の主役となる」と締めくくった。