日本テレビ放送網は2005年度に民放キー局5社で唯一,連結決算が減収減益となった。業績不振の最大の要因は,主力である地上波放送の業績を大きく左右する視聴率の低迷だ。日本テレビは10年連続の視聴率「三冠王」(プライムタイム,ゴールデンタイム,全日でトップ)を達成した2003年を最後に,フジテレビジョンにその座を奪われた。視聴率競争の主戦場である「プライムタイム」(午後7時~11時)においては,2005年度にテレビ朝日に抜かれて3位にまで落ち込んでしまった。事態は深刻である。

 日本テレビの久保伸太郎社長は2006年5月に開いた決算説明会の席上で,低迷する業績をテコ入れするための中期経営計画を明らかにした。「あらゆる伝送路で,コンテンツ供給のナンバーワン企業になりたい」との決意である。単に地上波放送事業の回復を図るわけではないというのだ。地上波放送を軸にしつつも,インターネットや衛星放送,携帯電話など様々なメディアを通じてコンテンツを流通させる体制を目指す。映像メディアの多様化によって市場構造が変わっても対応できるようにする(詳細は日経ニューメディア2006年6月19日号に掲載)。