米Sendmailなどは6月15日,メール・サーバー・ソフト「sendmail」のバージョン8.13.6以前(8.13.6を含む)にセキュリティ・ホールが見つかったことを明らかにした。細工が施されたメールを送られるだけで,sendmailを異常終了させられる危険性がある。つまり,DoS(サービス妨害)攻撃を受ける恐れがある。

 sendmailをMTA(Mail Transfer Agent)として使用している「Sendmail Switch」や「Sendmail Sentrion」といった商用製品も影響を受ける。対策は,同日公開された「sendmail 8.13.7」にバージョンアップすることなど。

 sendmail 8.13.6以前には,MIMEメッセージの処理に関する不具合が見つかった。何重にも入れ子になっている(深いネスト構造を持つ)MIMEパートを含むメールを処理しようとすると,sendmailが稼働するマシン(サーバー)のメモリーを過剰に消費して,sendmailのプロセスが異常終了する可能性があるという。

 Sendmailの情報によれば,常駐プロセス(デーモン)は異常終了しないので,メールの受信(中継)が停止することはないという。しかし,(1)システムの設定によっては,終了したプロセスが生成したcoreファイルによってディスク容量が圧迫される,(2)メッセージ配送のキュー処理が異常終了し,キュー内にある他のメッセージの配送処理が滞る---可能性があるという。

 Sendmailでは,現時点ではこのセキュリティ・ホールを突く攻撃を確認していないものの,セキュリティ・ホールの存在が公表されたために,攻撃が発生する可能性が高まったとして,すぐに対策を施すよう

 対策は,セキュリティ・ホールを修正したsendmail 8.13.7にバージョンアップすること。Sendmailでは同社商用製品用のパッチフィルタリング・モジュールを公開している。また,sendmailを同梱するOSのベンダーからは,sendmailのアップデートが公開されることが予想されるので,公開され次第適用したい。

 すぐにバージョンアップできない環境では,(1)sendmailのcoreダンプを無効にする,(2)「ForkEachJob」オプションを有効にする---といった回避策をSendmailでは勧めている。これらの詳細については,同社が公開するアドバイザリの「ワークアラウンド」の項を参照してほしい。

◎参考資料
Sendmail 8.13.7(米Sendmail)
◆JVNVU#146718:SendmailにおけるマルチパートMIMEメッセージ処理に関する脆弱性(JP Vendor Status Notes)
Deeply nested malformed MIME denial of service attack(米Sendmail)
Deeply nested Malformed MIME denial of service attack(深いネスト構造を持つ不正なMIMEメッセージによるサービス妨害攻撃)(センドメール)
sendmailの脆弱性に関する注意喚起(JPCERTコーディネーションセンター)
Vulnerability Note VU#146718 Sendmail fails to handle malformed multipart MIME messages(米US-CERT)