富士通とマイクロソフトは6月14日、売上高300億円以下の中堅企業向けシステム構築で協業すると発表した。富士通のハード/ミドルウエアとマイクロソフトのOS、ミドルウエア、ISV(独立系ソフト・ベンダー)の製品を組み合わせて、動作検証を実施。その組み合わせを「TRIOLEテンプレート」としてまとめ、開発パートナー(システム・インテグレータ)を通じて顧客に提供する。「検証済みのソリューションという形を採るので、顧客は安価で安定したシステムを導入できる」と、富士通の平野一雄プラットフォームソリューションセンター長は話す。

 TRIOLEテンプレートとしては当初、業務パッケージ間の連携や内部統制への対応を実施するものなど6種類を予定している。パッケージ間の連携技術としてはWebサービス技術を使う。連携用ミドルウエアとして、富士通の「Interstage Service Integrator」かマイクロソフトの「Biztalk Server 2006」のいずれかを利用する。これらのミドルウエアにより、ISV製業務パッケージや既存システムを連携させる場合でも、ほとんど手を加える必要がないとしている。「業務パッケージをサービスととらえれば、変化に強い企業システムであるSOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現できることになる」(富士通 ソフトウェア事業本部の天野宏ミドルウェアソリューション事業部長)。

 内部統制向けとして、パッケージ間でやり取りするデータを監視する「モニタリングモデル」がある。これを使うと、購買システムから会計システムに連携ミドルウエアを介して受け渡される購入金額のデータを常時監視し、その月の支払い限度額を超えそうな場合にはアラートを出す、といったことが可能になる。

 モニタリングモデルは、上記の処理を実行する連携ミドルウエア、モニタリング処理を実施するアプリケーション、システム間でやり取りするデータのログを収集するデータベース、富士通製ハードの組み合わせを指す。これに加えて、帳票モデル、データ分析モデル、画面統合モデル、データ集計モデル、業務最適化モデルを今年10月以降順次、提供する予定だ。

 富士通とマイクロソフトは、TRIOLEテンプレートを利用してシステム構築サービスを提供する開発パートナーを技術支援する役割を果たす。富士通はそのために、50人の選任技術者を確保する。ISVとして参加を表明しているのは現在、エス・エス・ジェイ、応研、オービックビジネスコンサルタント、サイボウズ、ディサークル、ピーシーエーの6社。構築サービスの料金は、1500万~2000万円程度。販売目標は、2009年6月までに顧客数で1万社。