ダウンロード版「悪意のあるソフトウエアの削除ツール」のスキャンタイプ選択画面
ダウンロード版「悪意のあるソフトウエアの削除ツール」のスキャンタイプ選択画面
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 マイクロソフトは6月14日,悪質なプログラム(ウイルス)を検出して削除する「悪意のあるソフトウエアの削除ツール」の新版を公開した。新版では「Cissi」と「Fizzer」に新たに対応した。ダウンロードセンター「Microsoft Update」などから利用できる。対応OSはWindows XP/2000/Server 2003。

 2005年1月にリリースされた同ツールは,毎月第2火曜日(米国時間)にバージョンアップされ,検出・駆除できるウイルスの数を増やしている。今回公開されたバージョン1.17では,CissiおよびFizzerというウイルスに新たに対応した。

 Cissiはメールとネットワーク経由で感染を広げるウイルス。実行されると,パソコン中のファイルから収集したメール・アドレスあてに,自分のコピーを添付したメールを送信して感染を広げる。また,Windowsのファイル共有を使って,別のマシンへ自分自身をコピーする。ボットの機能も備えており,IRC経由で攻撃者からの命令を待ち受け,命令に従って動く(例えば,別のウイルスをダウンロードして実行する)。このためCissiを実行してしまうと,パソコンを事実上乗っ取られることになる。

 Fizzerは2003年に発見された古いウイルス。メールやファイル共有ソフト「KaZaa」などで感染を広げる。特徴は,複数の機能を持つこと(関連記事:新種ウイルス「Fizzer」をIPAが警告)。実行されると,そのパソコンにキーロガーやバックドアを仕掛ける。また,動作中のウイルス対策ソフトを停止させる。加えて,ボットとしても動作する。AIM(AOL Instant Messenger)やIRC経由で,攻撃者からの命令を待ち受ける。

 同ツールはダウンロードセンターから入手できる。Microsoft Updateからも適用可能。Windows XPおよびWindows Server 2003 SP1については「Windows Update」からも利用できる。「悪意のあるソフトウエアの削除ツール」のWebページからは,同ツールのオンライン版(ActiveXコントロール)を利用できる。

 同ツールは,基本的には現在動作中のウイルスを検出・駆除するもの。ただし,ダウンロードセンターから入手したツールでは,「完全なスキャン」を選択すれば,システム全体(ハードディスク全体)をスキャンすることも可能(写真)。

 とはいえ,「完全なスキャン」を利用しても,同ツールの対応ウイルス数は,現在出回っているウイルスの数と比較すれば非常に少ない。このため同社では,「このツールは,ウイルス対策ソフトウエア製品に代わるものではない」としている

なお米Microsoftによると,同ツールは2005年1月からの15カ月間でおよそ2億7000万台のパソコンで利用され,1600万件のウイルスを検出および駆除したという(関連記事:MSの「ウイルス削除ツール」,今までに駆除したウイルスは1600万件)。

◎参考資料
悪意のあるソフトウエアの削除ツール (KB890830)
悪意のあるソフトウエアの削除ツール