モジラ・コーポレーションで「Thunderbird」の開発リーダーを務めるスコット・マクレガー氏
モジラ・コーポレーションで「Thunderbird」の開発リーダーを務めるスコット・マクレガー氏
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 2006年の秋にオープンソースのメールクライアントソフト「Thunderbird」の最新バージョン2.0がリリースされる見通しだ。米モジラ・コーポレーションで同ソフトの開発リーダーを務めるスコット・マクレガー氏(写真)に、新バージョンの特徴などを聞いた。


■Thunderbirdの開発体制はどのようになっているのでしょうか。

 Mozilla プロジェクトのソフトウエア――Firefox、Thunderbirdなどは同じプラットフォームに基づいて作られており、コードの大部分を共有しています。実際に開発に携わっているのは約100人ほどです。その他、コミュニティに属してボランティアでテストなどを行っている人々が数千人います。こうした開発者やテスト向けのプログラムはほぼ毎日更新されています。毎晩、その日の更新を反映したプログラムが作成され、ボランティアのグループは毎朝、最新のものをチェックするのが日課となっています。


■次期バージョン「Thunderbird 2.0」の主な新機能とリリーススケジュールを教えてください。

 新機能の1つは「Folder View」です。例えば受信ボックスに一度に多くのフォルダーが表示されると、目的のフォルダーを見つけるのが大変です。そこで、フォルダー表示を簡単な手順でいくつかのパターンに切り替えられるようにします。具体的には「Unread Folders」(未読メールが含まれるフォルダー)、「Favorite Folders」(ユーザーが登録した任意フォルダー)、「Recent Folders」(最近使った20のフォルダー)の3種類です。

 最近では、コンテンツに属性を付けられるWebサイトが増えています。それと同じように、メールにタグ(話題・種類などを表す属性情報)を付ける「Message Tagging」機能を追加する予定です。同じタグの付いたメールを仮想フォルダーにまとめるような見せ方を検討しています。

 メールを受信した際、デスクトップ右下にポップアップで通知を出す機能「New Mail Alert Notification」も搭載します。メールの送信者とタイトル、最初の1行を確認することが可能です。

 迷惑メール対策機能も強化します。Thunderbirdには以前から、過去の迷惑メールの内容を分析・学習して受信メールをフィルタリングする機能が備わっています。この迷惑メール判定アルゴリズムを改善する予定です。フィッシング詐欺メール対策としては、米グーグルの協力によって作成したブラックリストによる判定が可能になります。「メールに表示している見かけ上のURLと、実際にアクセスするWebサイトのURLが異なる」などフィッシングによく使われる手口から詐欺メールを判定する機能は以前からありました。Thunderbird 2.0では、それに加えて実際にフィッシング詐欺に使われていると明らかなWebサイトのURLをブラックリストから判定できるようになります。ブラックリストは外部のデータベースを参照するのではなく、パソコンに定期的にダウンロードする方式です。

 Thunderbird 2.0は2006年7月末にベータ、8月にベータ2をリリースする予定です。正式版の公開は2006年秋になります。