マイクロソフトは2006年6月12日、Windows Vista Beta 2に関するビジネスユーザー向けの説明会を開催した。同社は2006年6月8日にVista Beta2を一般ユーザー向けに公開した(関連記事)が、なぜこの時期に公開したかの理由について「多くのITプロフェッショナルにリリース前にベータ2を評価してもらいたいため」(写真1 同社 Windows本部 ジェイ・ジェイミソン本部長)と説明した。
Vista Beta 2で搭載されている主要機能の一部が正式版からは削除される、という一部の海外報道に関して質問が出ると、「大幅な変更はない予定だが、なにぶんまだベータ版の段階なので、いくつかの機能が安定性の確保やスケジュールの関係から搭載を見送られる可能性は否定できない」(同社 Windows本部 ビジネスWindows製品部 中川哲マネージャ)とコメント。今後の機能変更の可能性がゼロではないという点も明らかにした。
発表会では「ビジネスにおいて有用なVistaの特徴は、セキュリティとコンプライアンスへの対応、デスクトップインフラの最適化、生産性の向上、モバイルやコラボレーション機能の向上である」(ジェイミソン本部長)として、これらの分野に関するデモを交えてVistaの機能が紹介された。なお、説明された機能の多くは既報のものが多い。
まずパソコンの処理能力向上に効果がある機能として「Windows ReadyBoost」が紹介された。USB2.0に対応し、ハードディスクよりも速くデータの読み書きができる高速なフラッシュメモリーを、仮想メモリーのキャッシュとして利用する。具体的にはフラッシュメモリーにスワップファイルのコピーを置き、スワップデータの読み出しをフラッシュメモリーから実行することで、パソコンのパフォーマンスを向上させるという機能だ(写真2)。
作業効率を上げる機能としては検索機能が紹介された。Vistaでは、システムのバックグラウンドで自動的にハードディスク上のファイルのインデックス(索引)を作成しておくことで、従来のWindowsより高速な検索が可能となっている。
Vistaでは、このようなバックグラウンドで動く機能が増えている。例えばスパイウエア対策ソフトのWindows Defenderや、Vistaから標準で搭載となったアイドルタイムを利用した自動デフラグ機能(写真3)などもそうだ。
こうしたバックグラウンドで動く機能のために、体感上のパソコン性能が落ちたと思わせないよう、Vistaでは「低優先度I/O(Low-priority I/O)」という仕組みを導入している。低優先度I/Oとは、複数のアプリケーションがハードディスクにアクセスしようとする際に、バックグラウンドで動くアプリケーションよりも、ユーザーが利用するアプリケーションを優先させるといった仕組み。これによって「スパイウエア対策ソフトが動いているためにWordの動作が遅くなる」といった現象を防ぐことができるという。
モバイルとコラボレーション分野に関しては、Windows Vista搭載パソコンを使って、簡単にファイル共有などができる「Windows グループ作業ツール(Windows Collaboration)」がある。これは企業の同一拠点内——例えば1つの会議室で、10人以下の人数のユーザーがミーティングをする場合などを想定した機能だ。まずホスト役のユーザーがパスワードを設定して新しいセッション(グループ作業環境)を作成(写真4)。ネットワーク上の通信可能なユーザー(無線LANのアドホックモードも含む)を、その環境に招待する(写真5)。招待されたユーザーは、ホスト役のユーザーが最初に設定したパスワードを口頭、もしくはメールで教えてもらって入力する(写真6)。これにより、複数のユーザーが同じPowerPointファイルを見ながら会議をしたり、1つのファイルを相互に編集したりすることが可能になる(写真7)。
ディスプレイの明るさや電源管理など、モバイルパソコンにとって有用な機能を集めた専用のインタフェース「Windows Mobility Center」も用意されている(写真8)。この画面からは、プレゼンテーション時に邪魔になりそうな警告画面などを出さないようにする「プレゼンテーションモード」の設定も可能だ。
なお、現在は英語版のみが公開されているVista Beta 2の詳細な機能解説「The Windows Vista Product Guide」の日本語版も16日までに同社Webサイトで公開される予定だという。