36組のKHR-1ユーザーが参加した
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予選では2mの距離を歩行する速度を測定
予選では2mの距離を歩行する速度を測定
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鎧兜を着せたロボットも登場した
鎧兜を着せたロボットも登場した
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決勝戦ではリング上での格闘戦をした
決勝戦ではリング上での格闘戦をした
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新製品のKHR-2HVはおみこしを担ぐデモを実演
新製品のKHR-2HVはおみこしを担ぐデモを実演
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ROBO-ONEの参加者によるタッグマッチも開催
ROBO-ONEの参加者によるタッグマッチも開催
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 近藤科学の2足歩行ロボットキット「KHR-1」の発売2周年を記念するイベント「KHR-1 セカンドアニバーサリー」が2006年6月10~11日、東京・浅草で開催された。イベントは、昨年から引き続き第2回目。36組のKHR-1ユーザーが集まり、徒競走や格闘競技を繰り広げた。同時に、ロボット競技大会「ROBO-ONE」「ロボファイト」で活躍している機体によるタッグマッチが開催されるなど、盛りだくさんの内容となった。

 1日目は2mの歩行時間を計測するダッシュ競技から開始となった。この競技が2日目の決勝戦に進むための予選となる。予選は3回挑戦することができ、そのベストタイムで上位16名の予選通過枠を競う。コースの幅は180cmでコースアウトは不可。制限時間1分以内にゴールしないといけない。

 1回目は、調整不足のためか、スタート地点で動かない、倒れたまま起き上がれなくなるといったロボットが続出。半数以上が制限時間1分以内にゴールできずタイムアウト、という厳しい結果となった。2回目、3回目と回数を重ねると好タイムを叩き出すロボットが増えてきた。制御が難しい前方向への歩行をせずに、カニのように横方向に歩くなど各自で工夫を加えていたようだ。最終的には20台が30秒を切る結果となった。予選で1位となった「ダイナマイザーJr」(作成者名:スギウラシスターズ)は6秒2と、2位を3秒以上も引き離す好タイムだった。

 規定により、予選競技のスタート時には、ロボットに独自のポーズを取らせることが決められていた。実はこのポーズも大会の審査対象。ポーズの形とロボットの外観がもっとも優れると審査されたロボットには「コンクールドエレガンス」賞が渡された。受賞したのは、片足を上げて鶴のポーズをとった青KING(ナベケン氏、宮川到氏)。このほかにも、戦国時代から飛び出したような鎧をロボットに装着していた「兜」(梅津氏)も注目を集めていた。鎧はすべて手作りしたという。

 2日目の決勝では、予選を通過した16組がトーナメント形式で格闘戦をした。3分間で3ダウンを先取したロボットが勝ちとなる。1回戦では、予選と同じように、転んだまま立ち上がれなくなり、残念ながらあっさりと負けてしまうロボットも見られた。準決勝、決勝にもなると白熱した試合展開となった。決勝は、昨年大会でコンクールドエレガンス賞を取った「オタスケ・ジャパン」(ウエダッチ氏)と、予選1位だった「ダイナマイザーJr」。お互いにすばやい動きで技を出し合うが、3分間では決着がつかず。その後の延長戦で「オタスケ・ジャパン」がパンチを一閃。ダウンを奪って優勝を決めた。

 KHR-1ユーザー同士の競技のほか、観客の目を引くために、さまざまな趣向が用意されていた。6月2日に発売となったKHR-1の後継モデル「KHR-2HV」は、浅草という場所に合わせておみこしを担ぐというデモを実演。4台がミニチュアのおみこしを担いで上下に揺する様子を見せた。

 KHR-1以外のロボットもお目見えした。高い技術を持つ参加者が集まることで知られる「ROBO-ONE」や、大阪を中心に活動しいる競技会「ロボファイト」で活躍している参加者がロボットを持ち寄って登場。合計20台が関東組と関西組に分かれて、リング上でタッグマッチを繰り広げた。先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と5チームによる勝ち抜き戦だ。

 ROBO-ONEのベテラン組がそろった関東組に対し、関西組は苦戦。圧倒的に不利かと思われたが、関西組の大将チームであるキングカイザー(MARU Family)と振武II(中川電機)が奮闘。関東の中堅、副将を倒して、大将同士の決戦に持ち込んだ。互いに豊富な技を出し合い、最終的には関東組の「グレートマジンガアJr」」(光子力研九所)と「ヨコヅナグレート不知火」(Dr.GIY氏)が勝利したものの、最後まで勝負の行方が分からない見ごたえのある試合だった。

 関西組はお笑いの町・大阪を中心に活動しているだけあって、エンターテインメント性を重視したロボットが数多く見られた。2足歩行型から車輪走行型に変形するロボットや、おみくじをする巫女型ロボットなどがデモ実演。中でも目を引いたのは、エレキギターを演奏するロボット「メカボーナム」(ムイムイ氏 作成)。伝説のロックバンド、レッド・ツェッペリンをモデルにしたというロボットは、自作の小型エレキギターを本体の前に担ぎ、左手でフレットを押さえ、右手で弦を爪弾き、数曲を演奏した。このロボットもKHR-1をベースに改造を加えている。

 イベント内では、同じ自作キットであっても外装を自分好みに仕上げる、独自性のある動作を盛り込むといった各ユーザーが自分のアイデアを楽しむ様子が見られた。新製品「KHR-2HV」は価格が約9万円と従来より3万円以上安くなり、性能も向上した。こうした製品が普及することで、ホビーとしての楽しみ方がますます広がっていくだろう。

2mの距離を走るダッシュ競技

リング上での格闘戦

小型エレキギターを弾くロボット