クイックナビを配置した、りそな銀行の次世代型店舗。写真は神田支店(東京・千代田区)
クイックナビを配置した、りそな銀行の次世代型店舗。写真は神田支店(東京・千代田区)
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 りそな銀行が「次世代型店舗」を2007年3月末までに200店舗にするという目標を掲げている。

 次世代型店舗とは、独自開発のATM(現金自動預け払い機)を導入し、キャッシュレスやペーパーレスを推進する店舗。2004年11月から試験的に始め、現在では80店舗まで拡大している。この拡大ペースを速め、今年8月には100店舗へ、さらに今年度末までに200店舗までにする計画だ。

 昨年9月に旧大和銀行と旧あさひ銀行のシステム統合を成し遂げたりそな銀行は、顧客接点である営業店の改革に力を入れている。特に見直しを進めつつあるのが窓口業務だ。窓口業務は、銀行にとっては人件費など事務コストにつながり、顧客にとっても「待たされて当然」という問題があった。そこで、従来は窓口で対応していた業務をできるだけATMでできるようにし、銀行・顧客双方のメリットを追求する。

 例えば顧客が税公金納付書を持参した場合、従来は伝票類への書き込みをしたり、行員が現金を手に取って確認したりしていたが、ATMで対応できるようにした。原則、伝票書き込みと現金の確認は不要になった。

 ただし、納付書自体はサイズや書式が様々あり、機械処理はできないのでATMにサポートする行員が1人つくというブース「Quick Navi(クイックナビ)」を設置することにした。

 2004年11月にパイロット店舗として東京都内の竹ノ塚支店と千住支店にクイックナビを導入したところ、1日に対応できる顧客の数が1.5~2倍になった。それ以降、このクイックナビを設置した次世代型店舗への切り替えを進めてきた。

 次世代型店舗について、同行オペーレーション改革部の梅鉢晃グループリーダーは、「行員の削減が目的ではない。店舗を事務処理の場からセールスの場に変えるのが狙い」と語る。

 オペレーションの改革にあたって、りそな銀行は2003年8月にコスト削減、サービス向上に関する組織横断的なプロジェクトチーム「りそな競争力向上委員会」を設置した。委員会にはトヨタや花王のOBをアドバイザーとして招へいし、「コスト削減につながる作業工程の改善などで製造業の考え方を取り入れた」(梅鉢グループリーダー)という。この委員会から派生してできたオペレーション改革部では現在、約40人のメンバーが次世代型店舗の全国展開に携わっている。

 オペレーション改革部はクイックナビを導入する店舗のレイアウト変更やオペレーションの指導、システム導入などをサポートする。導入は店舗を閉じる金曜の夜から月曜の始業時間までに終わらせる。3カ月前から工事の打ち合わせに入り、2カ月前に行員に対して新しいオペーレーションの講習を開始している。