写真1 勝利に沸くドイツ・サポーター
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写真2 ミュンヘンにあるアリアンツ・アリーナの外観
写真2 ミュンヘンにあるアリアンツ・アリーナの外観
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写真3 ゴール近くに並ぶフォトグラファー
写真3 ゴール近くに並ぶフォトグラファー
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 6月9日(現地時間),「2006 FIFAワールドカップ・ドイツ大会」(W杯)が開幕(写真1)。開催国ドイツが4対2でコスタリカを下した開幕戦の直後,米アバイアでW杯プログラムのヘッドを務めるアンドレア・リナーバーガー氏は自信満々に言い切った。「すべてが完璧だった」。これは試合結果についてではなく,大会を支えるITネットワークの運用状況についての一言。アバイアが構築したドイツ大会用のITネットワークは,本格稼働の第一歩となる開幕戦の運用を問題なく乗り切った。

 今大会のITネットワークは,ドイツ国内の12のスタジアムとアバイアの「ITコマンドセンター」を接続している。その大きな特徴の一つとして挙げられるのが,ピッチ上のフォトグラファーが撮影した写真データを,その場から送信できる仕組みだ。

 開幕戦が行われたミュンヘンの「アリアンツ・アリーナ」(写真2)では,ピッチ上に無線LAN環境を構築してある。ただしドイツ大会の期間中,ピッチ上で無線LANを利用できるのは,ある大手通信会社2社に限定されている。その代わりにLANケーブルも利用できるようにしてあるため,ほとんどのメディアのフォトグラファーは撮影した写真を有線LAN経由で記者ルームや各報道機関に送信する。

 実際にドイツ対コスタリカ戦でも,大勢のフォトグラファーがゴール近くなどに並んだ(写真3)。試合中は撮影に集中していたものの,試合がハーフタイムに入ると状況が一変。多くのフォトグラファーが足元のLANケーブルにノート・パソコンを接続し,写真データを現場から送信していると思われる姿が見られた。

 このようにハーフタイムには,バースト的な大容量データが短時間に集中発生する。開幕戦を見る限りドイツ大会のITネットワークは,こうしたピーク・トラフィックに対しても,特に問題なく処理できることを証明したと言えるだろう。