NHKの悲願である本格的なインターネット進出が現実味を帯びてきた。竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」が2006年6月6日にまとめた最終報告書に,NHKが過去に放送した番組をインターネットで有料で公開すべきと明記された。法制化のカギを握る自民党の通信・放送産業高度化小委員会にも異論はない。それどころか自民党小委員会はNHKに,より自由な事業活動を認める方針だ。インターネットとデジタル放送を融合させた「サーバー型放送」や「ワンセグ」とったサービスでも,有料コンテンツの配信を認める方向である。政府が近くまとめる「骨太方針2006」にこれらの方針が盛り込まれれば,法改正を経て,NHKはインターネットという新たな事業領域に踏み出すことになる。

 NHKはインターネットを活用して受信料以外の新たな収入源を確保しようと,ここ5年ほど画策し続けてきた。それが今回認められる見通しになったのには訳がある。「今回は民放の抵抗は全くない」(NHK職員)のだ(詳細は日経ニューメディア2006年6月12日号に掲載)。