伊藤忠テクノサイエンス(CTC)は6月12日、システム構成を仮想化し、運用負荷を低減するツール「Scalent Virtual Operating Environment(Scalent V/OE)」の出荷を開始する。開発元は米国のベンチャー企業、スケーラントシステムズ。 Scalent V/OEを使えば、「Webサーバーを数台追加する」といった、システム構成の変更を、物理的なシステム構成を意識せずに実施できる。

 Scalent V/OEでは、管理画面上でシステム構成を定義する。管理画面はGUIベースで、サーバーやスイッチを示すアイコンを並べたり、アイコン同士を線で結んだりする。すると、サーバーやスイッチ、ストレージの各種設定を、あらかじめ決めたとおりにScalent V/OEが自動的に実施し、実際にその構成どおりにシステムが動作する。管理画面上でどのようにシステム構成を変えても、システム資源を追加しない限り物理的なシステム構成を変更する必要はない。「ネットワークやストレージの仮想化を実現する製品はあったが、それらを統合して管理できる製品は初めて」とプロダクトマーケティング1部の菅博ソリューション企画第1課長は自信を見せる。

 従来は、システム構成を変更するには、サーバーやスイッチなどを個別に設定変更しなければならず、それぞれの知識を持ったエンジニアを集める必要があった。このほか、「いざつなごうと思っても、サーバーのNIC(Network Interface Card)が足りない、などの物理的制約を受けることもあった」(菅課長)。Scalent V/OEでは、NICも仮想化するため、そうした事態を回避できるという。

 価格は800万円から。対応するサーバーは米インテル製x86系プロセサを搭載するIAサーバー、OSはWindowsとLinux、スイッチはシスコシステムズ製。ストレージは個別に検証が必要だが、ネットワーク・アプライアンス製を推奨する。CTCは2009年5月までに30社の導入を見込む。