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 「会計時期である3月を思い浮かばせる弥生という名前が良かったんじゃないか」。6月12日に弥生の社長を退く平松庚三社長(写真左)は、社長に就任してからの5年半をこう振り返った。後任の社長には、飼沼健副社長(同右)が昇格する。平松社長は6月12日付けで会長になり、今後、ライブドアの経営に専念する意向だ。

 「当初は、YSMやYSSといった3文字アルファベットの社名にしようという案もあったが、他社との差異化ができないと考え、あえて泥臭い名前を選んだ」(平松社長)と明かす。ライブドアの社長に就任して以来、謝ってばかりの平松社長だが、6月7日の退任会見では久しぶりの笑顔を見せた。

 笑顔の要因の1つは弥生の業績が好調なこと。平松社長は、「ブランド認知度が上がっており、今期売上高85億円いけるかもしれない。そうなれば、来期は売上高100億円を達成できると思う」と語る。ただし、弥生の正式な今期(2005年10月~2006年9月)の売上高予測は前期比11.7%増の80億4700万円、営業利益は同9.3%増の31億9700万円である。

 平松社長は、「これまでは無責任な目標を言うと後で恥かしい思いをするので言えなかった。これからは子会社の弥生に高い目標を達成してもらう立場なので、親会社の社長として高い数値が言える」と発破を掛けた。
 
 高い目標を押し付けられた飼沼次期社長は、「現状の安定した売り上げに甘んじず、すべてを変えていく」とする。同社の主力製品は、量販店販売を中心とする小規模法人や個人事業主向けの「弥生」シリーズで、シェアを順調に拡大している。加えて今後は、パートナー販売を中心とする中規模法人向けの「弥生 NE」シリーズの開発・販売を強化する。

 現在の「弥生会計 NE」と「同販売 NE」に加え、今年冬には給与パッケージを追加する。さらに、業種ごとのパッケージソフトも提供する予定だ。第1弾として今期から歯科医院向けの「弥生デンタル」を事業化するという。パートナーのリクルーティングにも力を入れている。「弥生を売りたいというソリューションプロバイダからの引き合いも多い」(飼沼次期社長)という。

 さらに、ユーザー企業の既存システムと連携させるためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)やSDK(ソフトウエア開発キット)の提供を予定するなど、ソリューションプロバイダが弥生 NEを提案しやすい環境を整えていく。