総務省は6月7日,地上波アナログテレビ放送の停波などで利用者がいなくなる周波数の活用法を検討する「電波有効利用方策委員会」の第2回会合を開催した。アナログ放送が2011年から2012年に停波することで空く90M~108MHz,170M~222MHz,710M~770MHzの「VHF/UHF帯」は,第3世代携帯電話(3G)や携帯端末向け放送システム,ITS(高度道路交通システム)などの新たな用途に割り当てる方向。今回の会合では,その検討の進め方を議論した。

 会合に先立ち,総務省はVHF/UHF帯への導入を希望するシステムについて100社から149件の提案があったことを明らかにした。これは,3月27日から4月27日まで民間企業などから募集したもの(関連記事)。集まった提案を用途や技術的な特徴に応じて13種類に分類し,割り当てる周波数や隣接するシステムとの共用条件などを検討する。

 具体的な検討は,電波有効利用方策委員会の下に設置される「VHF/UHF帯電波有効利用作業班」が行う。作業班を運営する主任には,電波産業会(ARIB)の若尾正義専務理事が就任した。

 この委員会で決めるのは,「ある周波数を特定の分類で利用する」というレベル。例えば分類の一つである「マルチメディア放送」の提案システムには,クアルコムが主導する「MediaFLO」や地上デジタル音声放送方式の「ISDB-TSB」,第3世代携帯電話の拡張方式である「TD-CDMA MBMSシステム」,欧州版地上デジタル放送の「DVB方式準拠FM放送」などが提案されているが,どの方式を採用するかまでは決めない。「具体的なシステムについては,異なる会合を設置してそこで議論する」(総務省電波政策課)。