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 環境省は6月5日、温室効果ガスの排出枠をネット上で取引できるサイト「GHG-TRADE.com」を立ち上げた(
写真)。三菱総合研究所が中心となって、日本国債の電子取引システムの開発などに強みを持つジェイ・ボンド証券と、証券業界向けJavaフレームワークを開発するファイテックラボと共同で開発した。

 GHG-TRADE.comは、環境省が2005年度から進めてきた「自主参加型国内排出量取引制度」をインターネット上で実施できるようにしたもの。国内排出量取引制度は二つの事を定めている。一つは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスについて一定量の排出削減約束を設けて、自主的・積極的に排出削減に取り組む企業や自治体に対して、補助金を交付すること。二つめは、目標以上に排出量を削減できた場合、その差分を排出枠という形でほかの企業に売却できることである。

 三菱総合研究所の橋本賢 地球温暖化対策研究グループ主任研究員は、「排出枠の取引は環境省事業とは言え、見ず知らずの企業同士が金銭取引することとなり、リスクが大きい」と見ている。そこで同社が事務局として、契約書のひな形を参加企業に提供し、売買注文を結びつけるマッチング・サービスを提供している。

 三菱総合研究所のマネジメントの下、ジェイ・ボンド証券がシステム設計を担当し、電子取引での契約ノウハウなどを助言している。実装はファイテックラボが担当。同社のJavaフレームワーク「xTier」を使用してUNIXサーバー上にシステムを構築した。「現在は30数社の参加だが、今後、ユーザー数や取引量が増加することが容易に推測できるため、拡張可能な仕組みを作り上げた」(ファイテックラボ)という。システム構築と運用費用については「対外的に公開しない方針」(環境省 地球環境局 地球温暖化対策課の吉田宏克氏)。

 今回、4月下旬リリースを目途にシステム構築を進めていたが、セキュリティ強化作業を追加したためオープンが6月5日まで遅延した。ただし、「GHG-TRADE.comはあくまでも取引に参加する企業を補助するためのツールであり、GHG-TRADE.comを介さなくても排出枠を企業間で取引することは可能なため、本稼働遅延による損害はない」(三菱総合研究所の橋本主任研究員)という。