米QUALCOMMは2006年5月26日,自社で開発した携帯端末向け放送技術「MediaFLO」を組み込んだ,UHF帯の広範囲の周波数帯域(470M~862MHz)に対応する端末用チップ「Universal Broadcast Modem」(UBM)を2007年第1四半期にサンプル出荷すると発表した。広範囲の周波数に対応させることにより,異なる周波数を使用してMediaFLO対応放送が提供される複数の国で,同じ端末を使って受信できるようにする考えだ。

 米国では大手通信事業者のVerizon Wirelessが2006年中にも,700MHz帯の周波数を使ってMediaFLOの放送サービスを開始する。英国では,British Sky Broadcasting(BSkyB)がMediaFLOシステムの実証実験を2006年夏に開始する計画であり,使用する周波数なども今後検討されることになる。さらに日本でも,KDDIとQUALCOMMが共同で設立した携帯端末向け放送サービスの企画会社「メディアフロージャパン企画」が,総務省に対して700MHz帯(710M~722MHzのうち10MHz幅以上)の周波数割り当てを要請した。

 このように世界規模でMediaFLO導入の動きが出ているものの,全世界で使用する周波数を統一できる可能性はほとんどない。そこでQUALCOMMは,1台の対応端末で世界各国の放送を受信可能にする今回のチップを提供することにした(詳細は日経ニューメディア2006年6月5日号に掲載)。