マイクロソフトは6月2日、スパイウエア対策ソフト「Windows Defender ベータ2」の日本語版の提供を開始した。同社のWebサイトから無償でダウンロードでき、正式版も年内に提供する予定。対応OSは、Windows2000 SP4以降/XP SP2以降/Server2003 SP1以降で、11月にも提供する予定の次期OS「Windows Vista」には、標準搭載されるという。

 同社のWindows本部ビジネスWindows製品部の中川哲マネージャは、「既存のスパイウエア対策ソフトとは競合しない」ことを強調する。むしろ、現状ではスパイウエア対策を行っているユーザーが少ないため、無償のWindows Defenderはスパイウエア対策市場を広げるのに有効との見方を示す。「ITリテラシーが高くない人たちでも、簡単にスパイウエア対策ソフトを使ってもらえるようにして、セキュリティ意識を啓発する」という。

 そのため、Windows Defenderでは細かな設定を敢えてなくした。パターンファイルはスキャンする前に自動的に更新。さらに発見したスパイウエアの処理は削除するか残すかという設定しかない。「保留といった選択肢を加えると、使い慣れていないユーザーが混乱する恐れがあるからだ」(中川マネージャ)とする。より高い機能や詳細な設定が必要なユーザーには、他社の専用ソフトとの併用を推奨するという。

 実際、本来であれば迎え撃つ立場であるはずのスパイウエア対策ソフトベンダーも、Windows Defenderの登場を大きな脅威とはとらえず、期待をもって見ている。ウェブルート・ソフトウェアの野々下幸治テクニカルサポート ディレクターは、「国内に限ればスパイウエア対策ソフトユーザーは少数。Windows Defenderを使って、きちんとしたスパイウェア対策製品がほしいと考えるユーザーが増えてくる可能性がある」という。Windows Defenderの登場で新たなセキュリティ市場が形成されるかもしれない。