みずほコーポレート銀行の営業担当者向けポータルサイト「RMポータル」の画面例
みずほコーポレート銀行の営業担当者向けポータルサイト「RMポータル」の画面例
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 みずほコーポレート銀行は今年度をメドに、営業面におけるナレッジマネジメントを強化する。

 同行は2005年4月に営業担当者向けのポータルサイト「RM(リレーションシップマネージャー)ポータル」を導入し、現在は営業担当者を中心に2000人が利用している。「本部からのお知らせ」といった事務連絡や、成功事例など営業担当者が活用できる情報などを一元して表示するものだ。今年度中にこうした情報共有の内容を広げる。

 同行は「ディールアフターディール」と呼ぶ戦略を打ち出している。1つの案件から数珠つなぎで複合的に展開していくことを目指すものだ。そのために、顧客である約1300の企業グループに対して営業担当者が一元的に窓口になる体制に切り替えた。

 例えば事業買収であれば、まず社債・シンジケートローンといった買収に必要な資金に関するサービスを提案し、買収が成立すると、買収した企業の不採算事業を整理するための提案を行うといった具合だ。この戦略を実現するために営業担当者は、自社が提供するサービスを把握しておく必要がある。「営業担当者は、経営者からの相談を受ける立場になりたい。そのためには情報武装する必要があった」(業務管理部営業推進チーム)という。

 RMポータルには、誰がどういった情報を持っているのかを調べられるノーフー機能がある。顧客が抱える課題に対して、営業担当者は社内にいる調査業務や商品開発を担当する専門家に相談できる。

 具体的には、ノーフーデータベースで人名や商品名を入力。社内で誰が詳しいのか把握でき、電話するなり、過去に書いた営業支援情報をたどって解決の糸口を見いだせる。逆に「どの営業担当者が自分の専門領域に関心を持ったのか」といったことも履歴から分かるので、サービスや商品開発の担当者が営業担当者に提案できるようになった。これまで各人の人脈でしか分からず、体系立てて誰に相談すればよいのか分からなかったという。

 今年度中に、このシステムを強化する。これまでは営業担当者が困ったときにシステムを活用していたが、中長期的な戦略を全社で共有することで顧客が抱えるであろう課題に先手を打てる体制づくりを目指す。営業担当者は取引先ごとに中期的な事業戦略「アカウントプラン」を策定している。アカウントプランには、取引先が抱えるであろう中期的な視点での経営課題や事業戦略やほかの金融機関の動向などがまとめられている。

 これらの情報を全社で共有することで、営業担当者が適切なタイミングで自社のサービスを提案できることで受注獲得を目指す。これまでアカウントプランは1枚の紙にまとめていた。「同業他社には情報を漏らさない」といった守秘義務があるため、ほかの営業担当者とも接する商品開発部門にそのまま開示することができなかった。項目ごとに共有の可否を設定できることで可能になった。今後の業界の動きを読んだり新サービス開発に生かす。システム開発はみずほ情報総研が担当した。