「携帯電話や組み込み機器向けWindowsの市場拡大に、大きな手応えを感じている」。こう語るのは、マイクロソフト日本法人でモバイルや組み込み機器向けWindows部門を担当する梅田成二モバイル&エンベデッドデバイス本部長だ。

 梅田本部長が挙げる「成長市場」の一つが、携帯電話向けWindowsである「Windows Mobile」の搭載機、いわゆるスマートフォンである。「夏から秋にかけて、Windows Mobileを搭載した携帯電話が、複数の通信事業者から発売される予定だ」(同)。

 日本市場でのWindows Mobile搭載スマートフォンとしては、すでにウィルコムが「W-ZERO3」を投入し、人気を博している。梅田本部長は企業ユーザーにおけるWindows Mobile搭載スマートフォンの利用拡大に期待をかける。「ノート・パソコンと携帯電話、PDAなど、複数の機器を社員に持たせていた企業が、高性能なWindows Mobile端末1台に集約すれば、コスト削減と業務効率化を図れる。1万台規模でWindows Mobile搭載スマートフォンの導入を検討している企業もある」(同)。

 マイクロソフトは、Windows Mobileや組み込み機器向けWindowsのシェア拡大に向けて、開発者の負担を軽減する仕組みを用意する。その一つが、Windows CEやWindows XP Embeddedの出荷形態を見直したことだ。具体的には、メジャー・バージョンアップとまではいかない小幅な機能強化を、「フィーチャー・パック」と呼ぶ追加モジュール群の形でリリースするようにした。ベンダーはフィーチャー・パックに含まれる追加モジュールの中から、必要なものを選んで自社製の端末や機器、パッケージ・ソフトなどに組み込むことができる。

 Windows CEやWindows XP Embeddedでは、これまでOS自体をマイナー・バージョンアップする形で、機能追加を続けてきた。このため、「開発者は新OSが出るたびに、自社製品に採用するOS全体を入れ替えたり、開発ツールやドライバーまでも入れ替えてもらう必要があり、開発者にとって大きな負担になっていた」(米マイクロソフトのマイク・ホール シニアテクニカルプロダクトマネージャ)。

 OS自身の機能強化も図る。例えば2006年中に出荷する予定の「Windows CE 6」では、同時に実行可能なプロセスを、現行の32から一気に3万2000まで増やす。各プロセスが扱える仮想メモリーの容量も、32Mバイトから2Gバイトへと、大幅に拡張する。