日立製作所は5月31日、運用管理ソフト「JP1」の新版「JP1 Version8」を発表した。(1)SOA(サービス指向アーキテクチャ)を踏まえたモニタリング機能と(2)日本版SOX法(企業改革法)への対応を前提にしたIT全般統制関連の機能を強化したことが特徴だ。

 (1)のモニタリング機能では、WebサービスのレスポンスやWebアプリケーション・サーバーのパフォーマンスなどを新たに監視対象に追加。システムの監視、稼働状況の確認、対処方法の判断までのルールを記述し、システムの運用監視を自動化するための製品「JP1/Integrated Management-Rule Operation」などモニタリングを支援する5製品をJP1の製品群に加えた。現時点で監視対象となるWebアプリケーション・サーバーは日立の「Cosminexus」のみだが、「パートナーからの要望も強いので、ほかのアプリケーション・サーバーを順次追加していく」(システム管理ソフトウェア本部システム管理ソフト設計部の石井武夫部長)。

 Rule Operationについて、石井部長は、「システムの視点だけではなく、ビジネスの視点からシステムを監視できるようになる」と説明する。例えば、システムのレスポンスが悪化した場合、これまでは「システムの処理能力を増やす」という対処方法を指定することができた。これに加えて、Rule Operationを利用すると「レスポンスの低下にともなうビジネス上の影響を考慮した対処方法」も記述できるようになる。「レスポンスが悪化した時に、すべて処理能力を増やすのではなく、ビジネス上に大きな影響がない場合はアクセスを制御するなど、柔軟な対処ができるようになる」(石井部長)という。

 (2)のIT全般統制関連の機能では、クライアント・パソコンの監視機能を特に強化。「WinnyをインストールしているパソコンはLANには接続しない」といった事前に設定したルールに基づいて、ネットワークへの接続の可否を判断する「JP1/NETM/Network Monitor」など2製品を追加した。クライアント・パソコンへソフトウエアを配布したり、ログを取得する「JP1/NEMT/DM Manager」の機能も強化した。これらの製品を利用するとクライアント・パソコンの監視にかかる時間が、「最大10分の1に短縮できる」(石井部長)という。10分の1という数字は日立社内の運用実績を踏まえた結果だ。

 価格はIntegrated Management-Rule Operationが42万円から。JP1/NETM/Network Monitorが31万5000円から。販売は6月1日から開始し、製品の出荷は6月30日から順次開始する。