経営戦略を説明する矢野薫代表取締役執行役員社長
経営戦略を説明する矢野薫代表取締役執行役員社長
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 「NGNは単にキャリアだけではなく,企業や個人へも事業機会を広げる」。4月にNEC社長に就任した矢野薫代表取締役執行役員社長(写真)は5月29日,経営戦略説明会の場でNGNへの期待を表明した。

 NGNとは,通信事業者の次世代ネットワーク。IPをベースにし,QoS(品質保証)を当初から考慮するなどの特徴がある。NECは,このNGNの市場を単なる通信事業者向けの機器やソフトウエアだけでなく,個人や企業にまで広がるものと捉えて戦略を策定した。「NGNによってインフラが変わると,その上で構築されるシステムも変わる」(矢野社長)とし,ITとネットワークの両方の技術や製品を持つNECの総合力が生かせるとした。

 こうした成長戦略を描く一方,業績が悪化している携帯電話端末事業の今後についても矢野社長は説明。パナソニック モバイルコミュニケーションズ(PMC)とのアライアンスについて,「両社が具体的な検討に入ることで合意した」と明かした。既にNECとPMCは,2001年8月から提携関係にあり,第3世代携帯電話端末のソフトウエアの共同開発などの実績もある。

 今後,両社の関係はさらに踏み込んでいくことになるものの,その検討内容については未定とした。現時点で明らかにしたのは,(1)事業統合はない,(2)両社のブランドを生かす,(3)スケールメリットを生かして国内市場から勝負する,など。特に事業統合について矢野社長は,「両社(NEC,PMC)ともに,携帯電話は(形状などが変わっても)10年後も存在する(重要な)製品との認識を持っている。人間とITの世界のインタフェースであり,今放棄することはない」と断言した。