東京都品川区の区民生活事業部長・山田恵美子氏
東京都品川区の区民生活事業部長・山田恵美子氏
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神奈川県横須賀市の企画調整部情報政策課長・森山武氏
神奈川県横須賀市の企画調整部情報政策課長・森山武氏
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千葉県市川市の情報政策監(CIO)・井堀幹夫氏
千葉県市川市の情報政策監(CIO)・井堀幹夫氏
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 日経パソコンと日経BPガバメントテクノロジーは2006年5月26日、自治体職員を対象とした行政情報化に関するセミナー「全国電子自治体会議」を都内で開催した。午後の部では主催者講演や3つの自治体によるパネルディスカッションなどを実施した。

 主催者講演では、日経パソコン編集部が「e都市ランキング2006 中間報告」をテーマに講演した。e都市ランキングは、全国の市区町村に対するアンケート調査を基に「行政の情報化」の進展度を比較する企画。2000年度から実施しており、行政情報化の比較については2001年度から続けている。

 セキュリティ対策やWebサイトのアクセシビリティ対策などは、2005年から2006年にかけて各自治体で進展が見られたと報告した。例えばセキュリティ対策では、パソコン廃棄時にデータを消去している自治体が2005年に64.4%だったのに対して、2006年の中間結果では78.1%と8割近い水準まで伸びた。また、韓国の行政情報化の最新事情についても紹介した。

 パネルディスカッションでは、東京都品川区の区民生活事業部長・山田恵美子氏、神奈川県横須賀市の企画調整部情報政策課長・森山武氏、午前の部で基調講演を行った千葉県市川市の情報政策監(CIO)・井堀幹夫氏が登壇して、「安心・安全社会の実現にむけたICTの利活用」をテーマに議論を行った。司会進行は日経BPガバメントテクノロジーの編集長・黒田隆明が務めた。

 山田氏は、品川区の子供を対象とした「近隣セキュリティシステム」について紹介した。児童に防犯ベルが付いたPHSを配布し、ベルが鳴った際には現場近くの協力者が駆けつける仕組みだ。2004年4月にシステム構築を着手し、2006年4月10日時点では1万1840人の子供にPHS端末を配布し、それに対する協力者数が1万2294人とほぼ子供1人に対して協力者が1人いるまでに至っている。

 森山氏は、阪神淡路大震災をきっかけに構築した「災害情報通信ネットワークシステム」について紹介した。1995年度の基本計画策定から本格稼動まで約7年の期間をかけ、システムありきではなく運用を重視したシステムになっているという。災害が発生した場合、専用の携帯端末を使って、現場から現場の位置や画像データなどの災害情報を災害対策本部室に送信する。

 井堀氏は、基調講演でも述べた全国共通の標準化された情報システムの仕組みの必要性について語った。また、携帯電話の顔認証機能が優れたものになれば、住基カードに替わる認証機器として活用できるのではないかというアイデアを披露した。

 このほか、アドビ システムズ、シトリックス・システムズ・ジャパン、ジャストシステム、トレンドマイクロ、サードネットワークスが、発表や展示で各社の製品を生かした自治体向けのソリューションなどを紹介した。