総務省は5月26日,「2005年度電気通信事業分野における競争状況の評価」を公開した。総務省が通信事業者間の競争を把握・分析するために実施している調査で,今年が3回目。従来から実施していたFTTH(fiber to the home)サービスなどのブロードバンド市場,広域イーサネットなどの企業向け通信サービス市場,携帯電話市場に加え,新たに固定電話市場を調査対象に追加した。

 固定電話市場は,(1)固定電話,(2)中継電話,(3)050番号を使ったIP電話の三つについて事業者別シェアを明らかにしている。固定電話には,NTT東西地域会社の加入電話やKDDIの「KDDIメタルプラス」などが含まれる。東西NTTのシェアが94.1%と圧倒的で,同社が市場支配力を行使し得る立場にあると断じている。

 (2)の中継電話は,マイラインで市内,県内市外,県外,国際と区分される通話サービスのこと。ここでもNTT東西が市内で75%,県内市外で70.1%と圧倒的。県外通話はNTTコミュニケーションが75.9%を占め,NTT東西とNTTコミュニケーションの2社が市場支配力を持つとみる。

 (3)の050番号を使ったIP電話では,BBテクノロジーが約半数の49%を占める。しかし,同社のシェアは減少傾向にあり,総務省は単独で市場支配力を持つ事業者は存在しないと判断している。ただし,続くNTTコミュニケーションズが25.4%,KDDIが9.8%と上位3社の合計で84.2%に達する。加入者間の通話料が無料になることが,こうした一部の事業者に集中する構造を引き起こす原因になっていると見ている。

 総務省は,今回の評価に対する意見を6月23日まで募集する。これに関連して5月30日に,今回公開した評価の説明会を開催する予定だ。