写真1 伊藤忠ケーブルシステム ブロードバンド・ネットワーク営業本部ネットワーク営業部の平田清高グループリーダー
写真1 伊藤忠ケーブルシステム ブロードバンド・ネットワーク営業本部ネットワーク営業部の平田清高グループリーダー
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写真2 Home Coax Network CET-330とCEM336 左側が子機となる「CET-330」,右側が親機となる「CEM-336」。
写真2 Home Coax Network CET-330とCEM336 左側が子機となる「CET-330」,右側が親機となる「CEM-336」。
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 伊藤忠ケーブルシステムが既設の同軸ケーブルを使って128Mビット/秒の構内網を構築できる機器「Home Coax Network CET-330/CEM336」の販売に本腰を入れ始めた。一般的な高速インターネット・サービス,例えば,電話線を利用するVDSLが提供できない建物や病院での活用を考えている。同社のブロードバンド・ネットワーク営業本部ネットワーク営業部の平田清高グループリーダーに製品の特徴や販売戦略を聞いた(写真1,聞き手は中道 理=日経コミュニケーション)。

――製品の特徴は。

 HomePNA3.0を使った同軸ケーブル通信システムだ。HomePNAといえば,電話線を思い浮かべるかもしれないが,3.0からは同軸ケーブルも使えるようになった。

 この製品はVDSLのシステムをイメージすると分かりやすい。建物の下まで光ファイバなどの高速回線を引き,屋内は同軸ケーブルで通信する。親機「CEM-336」が約2万円,子機である「CET-330」が約1万円とVDSLシステムと比べて安い。親機1台に対して15台の子機を接続できる。また,速度も上りと下りの合計で128Mビット/秒とVDSLよりも速い。

――VDSLの市場が形成されている今,参入は難しいのではないか。

 我々も販売を開始して驚いたが,携帯電話の普及によって最近,電話用モジュラー・ジャックのないアパートが増えている。ネットで物件を調べてから契約する人が大半なのに,居を移したらブロードバンドが使えないという現象が起きている。このほか,病院では病室に届くのはテレビの同軸ケーブルとナースコール用の線のみ。電話線はない。こういった場所にビデオ・オン・デマンド用回線として使えるのではないか。

――放送の帯域と競合しないのか。

 それは大丈夫だ。我々の製品は4M~12Mまたは12M~28MHzを使用するためだ。放送波は90MHz以上を利用する。ただし,CATVインターネットとは,競合してしまう。このため,集合住宅の住民がCATVインターネットに契約している場合は,使えない。

 ほかに想定している応用は,例えば,HDD(ハード・ディスク装置)レコーダから隣の部屋にあるテレビに同軸ケーブルで届けるシステムが考えられる。やはりここでも問題はCATVインターネットと競合すること。このため,店頭での販売は難しい。購入したユーザーがCATVインターネットのユーザーであるかもしれないからだ。この場合,インターネットにつながらない問題が起こる。だからこそ,通信事業者が扱う商品だと考えている。