日立製作所が経済産業省の委託を受けて開発を進めている5円のICタグインレット「響タグ」の3次(最終)試作品がこのほど完成した。響タグの開発期間は2年間であり、2006年7月がその期限である。残り2カ月強で目標の価格と性能を達成できるように、日立はラストスパートをかけている。

 3次試作品は、2次試作品では80%しか達成できていなかった目標性能に到達することが大きな狙いである。読み取りの場合は3m、書き込みの場合は1mという距離からきちんと通信できるようにする。

 ICタグの通信距離は、基本的にICチップの消費電力に左右される。消費電力が小さいほど、より弱い電波でも動作するため、リーダーアンテナから遠い距離でも通信できる。今回の最終試作品は、ICチップの消費電力を下げ、設計値では目標性能を達成できている見込みである。現在、実際の性能評価を進めており、その結果は、日経RFIDテクノロジが6月14日に開催する「RFIDユーザーフォーラム」で披露される予定である。

 響タグは2次試作品までは、今月初めに国際標準として成立した「ISO18000-6タイプC」(EPCグローバルのGen 2)のサブセットに当たる「響プロトコル」を実装していた。日立製作所は、響プロジェクトの成果を基に、どのようなプロトコルを実装するICタグを製品化していくかを2006年8月にも明らかにする計画である。

写真1 響タグの最終試作品