ロバート・ディマルティーノ日本法人社長
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早ければ年末に11nの正式規格にアップデートできる製品が登場。2007年以降にはWi-Fiアライアンスによる認証も開始となる見込み
早ければ年末に11nの正式規格にアップデートできる製品が登場。2007年以降にはWi-Fiアライアンスによる認証も開始となる見込み
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 無線LANチップを開発している米エアゴーネットワークスは2006年5月25日、記者会見で次世代の無線LAN規格「IEEE802.11n」の動向を説明。7~9月に定まる11n規格の新たな草案(ドラフト)に対応した製品を、早ければ年内に投入すると公表した。最大通信速度は理論値で300Mbpsにも到達するという。

 「IEEE802.11n」は100Mbps以上の高速通信を目指した新しい無線LAN規格。正式な規格策定は2007年となる見通し。IEEE(米国電気電子技術者協会)は、2006年1月に初期の草案をまとめ、現在は、関係者の意見を集約したうえでドラフト1.0を定めている。これに続いて7月にはドラフト2.0が、9月にはドラフト3.0が、まとめられる予定だ。

 エアゴーが年内に投入を目指す、ドラフト2.0もしくは3.0に対応した新製品では、理論上の最大速度は300Mbpsを目指す。ただし、この速度は、通信時に40MHz幅の帯域が利用できる海外の場合になる。国内では無線LAN通信には、20MHz幅を使うという規制があるため、速度は150Mbps程度になると見られる。エアゴーによると、ドラフト2.0や3.0はほぼ正式規格に近い仕様となるので、新製品では将来のファームウエアのアップデートで正式規格に対応できるという。

 海外では、1月に定まった初期の草案に基づいた製品も登場している。そのような製品については「11nの正式規格にファームウエアでアップデートするのは不可能」(ロバート・ディマルティーノ日本法人社長)と強調。初期の草案では、従来の11a/b/g規格との相互運用性で問題があり、制御チップなどハードウエアの変更も必要になるという考えを示した。

 同社は、11n規格で採用される高速化技術「MIMO(multiple input multiple output)」を使った無線LANチップを開発。そのチップを搭載した製品はバッファローなどが2005年2月から販売している。現状の製品では、理論上の通信速度は126Mbs。実効値でも70Mbps程度の速度が出るという。同社はこれらのMIMO対応製品については、11nへのアップデートこそできないが、従来の無線LAN規格との互換性を持つことから独自の高速化技術を持つ無線LAN製品ととらえてほしい、としている。