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 伊藤忠テクノサイエンス(CTC)とCRCソリューションズの2社は、10月1日に合併することで合意したと発表した。合併後の新会社「伊藤忠テクノソリューションズ」は、売上高が3000億円規模に達し、製品販売からシステム開発、運用・管理までを手掛ける総合ソリューションプロバイダとなる。合併会社の社長には、奥田陽一・現CTC社長(写真左)が就任する予定だ。

 2社は共に伊藤忠商事系のソリューションプロバイダで、いわば“兄弟会社”の合併である。合併を決断した背景について、CRCの杉山尋美社長(写真右)は「単独でも安定成長は期待できるが、飛躍のために“ギアチェンジ”が必要と考えた」と説明した。

 2社のうち、CTCは先端的なIT製品などの販売を、CRCはデータセンターを核としたシステム運用・管理とそれに伴うSIを強みにする。かつて杉山社長は、2社の合併の可能性について「(同じ伊藤忠系でも)シナジーは薄い」と語っていた。会見では、判断を変えた理由を「CTCがSI分野に手を広げたことで、顧客のITのライフサイクル全体でを支援するという観点から、相乗効果が期待できるようになった」と説明した。

 新会社の経営目標については、CTCの奥田社長は「業界のトップ3に入ること」と明言。単に売上高だけで見るのではなく、利益やビジネスモデルのユニークさなどを総合的に勘案して、トップ3入りを目指すという。今回の合併はそのための第1歩であり、さらなる規模拡大や弱点補強のために「気持ちとしては、いつでも第2歩目、3歩目の手をうっていきたい」と、奥田社長は更なる提携や企業買収などにも意欲を見せた。

 合併する2社の売上高は、2006年3月期においてCTCが2390億円、CRCが606億円で、単純合計した業績は売上高が2996億円、経常利益が250億円。卸業や販社系を除くとITサービス業界では5指入りを伺う企業規模になる。

 上場している競合他社と比較すると、NTTデータや大塚商会の売上高には及ばないが、日本ユニシス(06円3月期の売上高は3175億円)に迫り、野村総合研究所(同2856億円)やCSKホールディングス(同2412億円)を追い抜く格好だ。

 非上場企業との比較では、売上高がおよそ3000億円の東芝ソリューションズやNTTコムウェアと、互角に渡り合うことになる。こうして見ると、売上高だけでも業界のトップ3入りは不可能ではないが、利益額を見るとNRIなどに劣る面もあり、目標達成のためには更なる積極策が必要と言える。

 合併会社の事業の構成比率は、「製品販売が5、SI(開発・構築)が3、運用・保守が4のバランスにすることが理想」(奥田社長)。現在の比率はSIが2.5、運用・保守が4.5という。競合他社と比較するとSIの比率が低いが、「この事業比率を厚くすることが強みになるとは考えていない。提携などで補っていく」(奥田社長)と見る。

【訂正】記事掲載当初、新会社の社名が「CRCテクノソリューションズ」になっていました。正しくは「伊藤忠テクノソリューションズ」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。