工内隆OSDLジャパン・ディレクタ
工内隆OSDLジャパン・ディレクタ
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 「日本のLinuxコミュニティを応援し、世界に羽ばたくLinux技術者を育てたい。野球界で例えるなら、松井秀喜、イチローのような存在だ」。Linuxの普及促進を目指す非営利団体である米OSDL(Open Source Development Labs)のジャパン・ディレクタに今年4月に就任した工内隆氏は、就任の抱負をこう語る。

 日本のLinux技術者を育てるための施策として、OSDLジャパンが年3回程度主催するセミナー「OSDL Japan Linux Symposium」に、Linux界の重鎮を日本に招へいする。直近では、6月13日に開催するセミナーに、リーナス・トーバルズ氏に次ぐコミュニティのナンバー2であるカーネル・メンテナーのアンドリュー・モートン氏を呼び、講演を依頼した(開催概要は、http://www.osdl.jp/seminar0613/)。

 セミナーでは、日本人Linux技術者による講演枠を設けた。「日本に優れた技術者がいることをLinux界の重鎮にアピールするための場になればと思っている。講演する技術者はぜひ、世界に羽ばたくきっかけにしてもらいたい」(工内ジャパン・ディレクタ)。講演者はセミナーごとに選出し、OSDLのメンバーでなくとも壇上に上がれるようにする。

 このほか、OSDLジャパン独自の取り組みとして「Linux上で動作が保証されたミドルウエア製品の一覧を作成したい」(工内ジャパン・ディレクタ)という。一覧には、どのミドルウエア製品が、どのLinuxディストリビューションとどのハードウエア上で動作可能かを明記する。OSDLジャパンに加盟している、NEC、日本IBM、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、富士通などから情報を募る。一覧はインターネットを通じて公開する。一覧に掲載するミドルウエアとしては、データベース管理ソフト、クラスタ・ソフト、ストレージ管理ソフト、運用管理ソフトなどを予定している。

 OSDLは昨年、Linuxを使ってシステムを構築したユーザー事例の一覧である「SI Forum 事例データベース」を作成した(今年5月に情報処理推進機構のWebサイト「OSS iPedia」に移管)。ミドルウエア製品一覧はそれに続く第2弾になる。