SAPエグゼクティブ・ボードメンバーのシャイ・アガシ氏
SAPエグゼクティブ・ボードメンバーのシャイ・アガシ氏
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Project Museのデモ画面
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 独SAPは5月17日(現地時間)、ERPパッケージ(統合業務パッケージ)の最新版「mySAP ERP 2005」を出荷したと発表した。SAPのエグゼクティブ・ボードメンバーであり、技術部門の責任者を務めるシャイ・アガシ氏(写真上)は、「使い勝手や構築の手間をいかに簡素化するかが、mySAP ERP 2005のテーマ」と説明する。日本での出荷時期は明らかになっていないが、5月中にも提供するとみられる。

 使い勝手の簡素化では、リッチ・クライアントを採用した新たなユーザー・インタフェース「Project Muse」を披露(写真下)。Project Museを利用すると、これまで複数の画面にまたがって操作が必要だった処理を、1画面で処理できるようになり、「エンドユーザーの生産性向上が可能になる」とアガシ氏は強調する。

 構築の手間の簡素化を実現するために、mySAP ERP 2005では、「これまで個別に提供していた業種別の機能を、ERPパッケージの標準機能として初めて取り込んだ」(アガシ氏)。このほかに、「アップグレード作業を簡素化する技術も取り入れている」(同)。同氏によれば、mySAP ERP 2005は最短60日間でアップグレードできるという。

 アガシ氏によれば、mySAP ERP 2005は、SAPが2003年から提唱している「ESA(エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ)」に完全に基づく初めての製品。ESAはSAP版SOA(サービス指向アーキテクチャ)を指す。

 同氏は、mySAP ERP 2005を利用してESAに基づくシステムを構築するための手順も提示した。(1)社内データを統合する、(2)mySAP ERP 2005にアップグレードする、(3)ERPパッケージの適用業務を拡大する、(4)エンドユーザーが大量の情報から必要な情報を取り出せるデータ分析環境を構築する、(5)インフォメーション・ワーカーが働きやすいように情報を提供する環境を構築する、となる。このステップを踏むことで、「企業は、今よりもシンプルで、より大きな効果が得られるシステムを構築できる」とアガシ氏は強調する。