SAPのヘニング・カガーマンCEO
SAPのヘニング・カガーマンCEO
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 「これからの企業システムは『エンタープライズSOA』が主役になる」。独SAPでCEO(最高経営責任者)を務めるヘニング・カガーマン氏(写真)は5月17日(現地時間)、米フロリダ州オーランドで開催されている独SAPのイベント「SAP SAPPHIRE 06 Orlando」でこう語った。

 同社は、SAP版のSOA(サービス指向アーキテクチャ)である「ESA(エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ)」という概念を提唱している。今回のSAPPHIREでは、ESAを「エンタープライズSOA」という言葉で表現した。一般的な「SOA」という言葉を使わない理由について、カガーマン氏は「現在のSOAは技術論に終始しているから」と説明する。

 「当社の提唱するエンタープライズSOAは、SOAを実現するための技術基盤だけを指すわけではない。技術基盤で動作するビジネス・プロセスと一体化したアプリケーションも、ここに含まれる。これが他社とは大きく違う点だ。エンタープライズSOAに基づいたシステムを構築するために必要な製品をすべて、当社は提供している。顧客はいつでもエンタープライズSOAに移行できる」(カガーマン氏)。

 エンタープライズSOAの技術基盤に当たるのが、同社のミドルウエア群「NetWeaver」。そしてビジネス・プロセスと一体化したアプリケーションに相当するのは、「エンタープライズ・サービス(ES)」である。ESは同社のアプリケーションのビジネス・プロセスを再定義し、Webサービスとして提供するものだ。SAPPHIREで正式に発表した同社のERPパッケージ(統合業務パッケージ)の最新版である「mySAP ERP 2005」では、500種類のESを提供する。

 カガーマン氏は、エンタープライズSOAに基づいて構築したシステムのメリットを「変化に強く、ビジネスのスピードに追随できること」と説明する。「企業活動は日々、変化している。顧客やサプライヤの要望も日々変わっている。将来を見越して、ビジネスの変化に追従できるシステムを構築することが重要だ」とカガーマン氏は強調した。